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続々・新たな視点で見てみると[2]──不思議カプセルからエイリアン出現:タイコウチの孵化
 └─2017/07/09

 井の頭自然文化園水生物館では水辺に暮らす水生昆虫のなかまも展示しています。生息場所の開発などで数を減らしている種類も多い水生昆虫です。展示のためとはいえ、自然から採ってくることはしたくありません。そこで可能な種類についてはバックヤードで繁殖させて、増えた個体を展示するようにしています。

 2017年5月から6月にかけて、バックヤードで飼育していたタイコウチが水槽内にセットしておいた水苔に産卵しました。


タイコウチ成虫


タイコウチの卵の上部には呼吸のための糸状突起がついている。本体部分の長さは4ミリほど

 生まれたばかりの卵は白いのですが、日が経つにつれ、だんだん赤っぽい色に変わってきます。孵化直前にはまた白っぽい色になり、2週間ほどすると孵化が始まりました。


【動画】タイムラプスで撮影をしたので実際よりも速く見える孵化。
卵殻が割れ始めてから幼虫が全部出るまで2時間前後かかっている

 卵もかなり特徴的な形をしていますが、そこから出てくる幼虫も、全身が赤く異様な姿に見えます。孵化した幼虫は少し休んだ後、すぐに水中に入っていきます。


孵化した体長6ミリほどの幼虫と卵殻

 現在、小さなカップに幼虫を入れて裏で育てています。うまく成長させ、展示デビューをさせようと考えています。

・前回の「続々・新たな視点で見てみると[1]──シェルター式ゆりかご:ミヤコタナゴの産卵(2017年6月
15日)

〔井の頭自然文化園水生物館飼育展示係 三森亮介〕

(2017年07月09日)


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