井の頭自然文化園で飼育しているツシマヤマネコの「もも」(個体番号No.39)を2018年12月4日(火)、名古屋市東山動植物園へ移動します。ももは2006年4月1日に福岡市動物園で生まれたメス。現在12歳です。
ツシマヤマネコは、東アジアから南アジアに分布するベンガルヤマネコの亜種です。日本では長崎県の対馬にしか生息していません。体重は3~5キロ、体長50~60センチでイエネコにも似ていますが、耳の裏に白い模様(虎耳状斑)をもつことがイエネコとの違いの一つです。
1960年代の調査による推定生息数は250〜300頭でしたが、生息環境の悪化やえさとなる生物の減少、交通事故死などで個体数が減少し、2010年代前半の時点での生息数は約100頭と推定されています。1971年には国の天然記念物、1994年には国内希少野生動植物種に指定されました。
絶滅危惧種ツシマヤマネコを守るため、環境省は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(通称「種の保存法」)にもとづく保護増殖事業を実施しています。環境省の依頼を受けた公益社団法人日本動物園水族館協会(JAZA)は、国内9施設で飼育下繁殖事業に取り組んでいます。2018年11月12日現在、対馬野生生物保護センターを含め、国内では10施設でオス18頭、メス17頭、計35頭が飼育されています。
井の頭自然文化園もこの飼育下繁殖事業に協力し、2006年からツシマヤマネコを飼育しています(
お知らせ)。2018年冬から翌年春にかけての繁殖期を迎え、「平成30-31年ツシマヤマネコ繁殖(移動)計画」にもとづき、全国で計5頭の移動を実施することとなりました。現在井の頭自然文化園にいる「もも」は、2015年11月22日に来園した個体です。非公開施設で飼育していましたが、移動計画にもとづき、名古屋市東山動植物園へ移動することとなりました。
ももの出発後、井の頭自然文化園のツシマヤマネコはオス1頭、メス2頭となります。
国内での移動予定は次のとおりです。
個体番号 | 性別 | 年齢 | 移動前 | 移動後 | 移動予定日 |
No.39 | メス | 12歳 | 井の頭自然文化園 | 名古屋市東山動植物園 | 12月4日 |
No.45 | オス | 14歳 | 横浜市立よこはま動物園 | 名古屋市東山動植物園 | 12月4日 |
No.65 | メス | 4歳 | 名古屋市東山動植物園 | 西海国立公園九十九島動植物園 | 12月5日 |
No.81 | メス | 1歳 | 京都市動物園 | 西海国立公園九十九島動植物園 | 12月5日 |
No.68 | オス | 4歳 | 西海国立公園九十九島動植物園 | 京都市動物園 | 12月6日 |
(2018年11月30日)