催し物
特設展示「鳥々色々」研究室紹介──2
 └─井の頭 2009/12/11

 「チョットコイ研究所」の研究室紹介第2弾は、「鳥類行動学研究室」「鳥類音声学研究室」です(ご紹介第1弾はこちらをごらんください)。

 鳥類行動学研究室(写真上)は、最新の科学的トピックを追及することよりも、バードウォッチングの普及に力を入れています。「動きの速い鳥は観察が難しい。だから、ゆっくり動くゾウの方が好き」とおっしゃる方にも、鳥の観察の面白さを知ってほしい──これが研究室のモットーです。

 研究室の壁にある「のぞき窓」に目をあてると、双眼鏡で外の鳥たちを見ることができます(写真中上)。ただし初心者の練習用なので、そこから見える鳥は描かれた壁画の鳥たちです。ピント合わせなどを練習し、天気のよい日に園内にくり出してください。置いてある「ビンゴ観察カード」は、園内でくらす野鳥に目を向ける前に、和鳥舎や野鳥の森の鳥たちを観察するときに使ってください。

 また、雨の日でも温かい室内で鳥の行動を観察できるよう、野鳥の森の5号室(ガラス窓から見るケージ)に設置した「小鳥カメラ」を使って、リアルタイムの映像が研究室のモニターに送られています(写真中下)。小鳥たちがすり餌やヒマワリの種を食べるようすが観察できます。研究者・大外羅登は、鳥の種類ごとの食べものの嗜好性を調査中です。

 鳥類音声学研究室では、鳥が出す音を科学的に、そして文学的に解析しています。研究所の名前にもなっているコジュケイの鳴き声「チョットコイ」をはじめ、井の頭自然文化園で飼育している鳥の声の録音データをコンピューターで聞くことができます。

 耳で聞くだけでなく、視覚的にも音を知ることができるよう、音の「ソナグラム」も表示しています。ソナグラムとは、音の高さ(周波数)と音の強さを分析し、グラフに表示する手法です。マイクを通して自分の声のソナグラムを見ることもできるので、聞いた鳥の鳴き声をまねしてソナグラムを比べると、本物とどれだけ似ているかを確かめることができます。

 文学的な解析については、新しい「聞きなし」の発見を目指しています。「聞きなし」とは、コジュケイの鳴き声「チョットコイ」を「ちょっと来い!」という意味のある言葉に置き換えて楽しむことです。オリジナル聞きなしを募集中ですが、スタッフを驚かせたものはまだありません。研究者・法華響子の自信作は、イカルの鳴き声の聞きなし「リュウチシュウ」(笠智衆:映画俳優)です。

写真上から:
 鳥類行動学研究室
 のぞき窓から
 小鳥カメラ
 鳥類音声学研究室

〔井の頭自然文化園動物解説員 馬島洋〕

(2009年12月11日)



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