上野動物園のニホンツキノワグマの冬眠チャレンジは、オスの「ソウ」(推定9歳)とメスの「ウタ」(3歳)の2頭でおこない、ウタは2014年1月27日に冬眠から目覚め、ソウは3月13日に冬眠の終わりを告げる止め糞を排泄したので、2013年度の冬眠チャレンジはこの日をもって終了しました。
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「ニホンツキノワグマ『ウタ』の冬眠明け」(2014年02月07日)
今回冬眠にチャレンジしたソウは、オスとしては初の試みです。一般的にオスはメスより冬眠期間が短いとされているので、メスの冬眠とどのような違いがあるのかが焦点となりました。
ソウの冬眠を振り返ってみると、冬眠期間は87日間、冬眠期間中の平均睡眠時間は22時間30分、1分間の平均呼吸数は約2回であり、これまでおこなってきたメスの冬眠とほぼ変わらない結果となりました。
しかし体重に関しては、例年メスは冬眠期間中に約20%体重が減少していたのに対し、ソウは30%も減少しました。この減少率はこれまでの冬眠チャレンジの中で最大の減少率でした。
また、秋に体重を増やすときも、メスは餌を1日約5000キロカロリーまで増やした結果体重が30%増加したのに比較し、ソウではなかなか体重が増えず、1日約1万キロカロリーまで増やしても体重が20%しか増加しませんでした。もしかするとオスは太りにくく痩せやすい傾向にあるのかもしれないと感じました。
現在、冬眠という冬の一大イベントを無事に終えたソウとウタを含め、4頭のツキノワグマを放飼場と屋内展示室とで交替に展示しています。温かい陽気の中、ぜひ上野動物園のクマたちに会いに来てください。
写真:冬眠明け初めて放飼場に出た「ソウ」
〔上野動物園東園飼育展示係 野島大貴〕
(2014年04月04日)