上野動物園では2006年からニホンツキノワグマの「冬眠チャレンジ」に取り組んでいます。2013年度はオスの「ソウ」が室温や照明時間を人工的に調節できる冬眠施設で初めて冬眠に入り、今年度が3回目のメスの「ウタ」は通常の寝室で冬眠しました。
2014年1月27日、ウタは冬眠が明けた合図となる「止め糞」を排泄し、冬眠終了となりました。
今回ウタは、例年どおり12月中旬に冬眠するよう、餌の量を増やしていきました。冬眠中は体重が減少していくので、9月ころから餌を増やし、通常体重よりも30%増加した79.5キロを目標として、最低でも20%増の73キロを超えるように計画しました。
過去2回の冬眠の時もそうでしたが、11月ころになるとウタは食欲が低下してきて、動きも鈍くなってきました。12月7日、体重が最低ラインの73キロになったころには餌を残すようになったので、ウタの体の冬眠準備が整ったものと判断し、12月11日から餌を減らして14日から絶食させたところ、冬眠に入りました。
冬眠に入ってから12月27日までは外のようすが気になるのか、一日の睡眠時間が約18時間と短く、寝たり起きたりの不安定な日々が続いていたのですが、12月28日からは睡眠時間が20時間を超えるようになり安定した冬眠に入りました。
しかし、2014年1月23日には睡眠時間が20時間を切り、27日に冬眠が終了。44日間という例年の半分ほどの期間でウタの今年度の冬眠は終わりました。
2月1日の体重測定では59.6キロで、冬眠前の体重のマイナス13.4キロ、19%の減少でした。この結果は例年の長い冬眠期間を経たときと同程度の減少率です。冬眠入りした12月14日から27日までの不安定な時期には呼吸数が例年より高かったので、余分に体力を使ってしまったのではないかと推測しています。
ウタの冬眠は終わりましたが、冬眠施設ではまだオスのソウが冬眠中です。オスの冬眠はメスより短いといわれていますので、お早目にごらんください。
写真上:冬眠部屋で餌を食べる「ウタ」
写真下:冬眠明け、展示場に出たところ
〔上野動物園東園飼育展示係 野島大貴〕
(2014年02月07日)
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