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ころがるマレーグマの赤ちゃん──11/12
 メールマガジンNo.188 でもお伝えしたとおり、上野動物園のクマ舎はまもなく取りこわし、生まれ変わります。オープン予定は2006年春。それまでクマ舎の動物は、園内外の別の施設にうつってもらうことになります。

 2004年11月8日の休園日、マレーグマの「キョウコ」とその子どもを移動しました。移動先は、西園にいるオランウータン「モリー」の隣室です。
 子どもの誕生については、メールマガジンNo.181 でお伝えしました。2004年7月28日が誕生日です。まだ、名前はついていません。

 11月8日、まず、母グマが放飼場に出ているあいだに仕切りの扉を閉め、子犬サイズの子どもを素手で捕獲。子どもは運搬用の容器におさめ、母親はトラックの荷台に乗せ、東園から西園に運びました。
 部屋は二つありますが、ふだんは寝小屋にこもっています。あたらしい環境ということもあるのでしょうか、表の展示スペースにはなかなか出てきません(寝小屋と展示スペースのあいだの仕切りは、ふだん開けてあります)。
 しかし、好奇心いっぱいに見える赤ちゃんは、ときどきすがたを見せてくます。ふらふらしてるので、大丈夫かヲイ!という感じなんですが、壁につかまりながら出てきて、コロンと後向きにひっくりかえったり、あおむけになったまま、なかなか起きあがれずに足をジタバタさせたり。

 今日も赤ちゃんは、「トロ舟」のふちに足をかけて、ヨイショヨイショと出たり入ったりしていました(トロ舟とは、建築業界でよく使われる用語。コンクリートやモルタルをこねる容器です。動物園では「舟」などと呼ばれています。となりのモリーも、この舟を器用に立てて、その上に座っています)。
 でも、キョウコは周囲の気配や音には敏感です。人間が表から見ていると、寝小屋から出てきて、赤ちゃんをくわえたり、つかんだりして、奥に連れ帰ったりするのでした。となりのモリーが舟をずるずるとひきずって音をたてても、キョウコは赤ちゃんを連れ戻します。

 マレーグマが展示スペースにすがたを見せるのは、午後4時ごろだということです。これは、お客さんが少なくなって、しずかになったからかもしれません。ですから、赤ちゃんを見たい方は、この時間帯に、そーっと見に来てください。となりで「モリーさーん!」と声をかけてくださるファンも多いのですが、できればそーっと、そーっと。
 今日(11月19日)は一日雨模様でしたのでお客さんも少なく、そのせいでしょうか、昼ごろから赤ちゃんはチョコチョコと動きまわっていました(たいてい昼間は寝ているそうです)。東京動物園協会のカメラマンも表側から撮影にトライ。撮影を始めると、モリーもわかっているのか、マレーグマの部屋と自室を隔て入る壁に顔をつけ、壁にたくさんあいた小さな孔からとなりを覗きこんでいるようでした。
 右の写真は、寝小屋側から撮影したもの。赤ちゃんも長い舌をベロンと出しています。
 飼育舎内に入ってカメラマンの撮影に立ち会っていると、なんか荒い息づかいが……。ん? ふと振り返ると、好奇心いっぱいのモリーの顔がすぐそこに。いや、今日はマレーグマが被写体なので。ごめん、モリーさん。

 マレーグマ母子がいっしょに展示スペースに出てくれるのは3日に一度くらいとのこと。飼育係はそのタイミングをみはからって、展示スペースと寝小屋のあいだの仕切りを閉め、寝小屋の掃除をします。えさは煮たサツマイモやニンジン、リンゴ、ゆで卵、ペレット、動物用ソーセージ、パンなど。赤ちゃんも、固いえさ(リンゴやペレット)でなければ食べています。
 マレーグマの赤ちゃんを見にいらしたら、じっとしずかに待ってみてください。

 ・東京ズーネットBBのマレーグマの動画(2002年撮影、1分20秒)はここ

(2004年11月19日)



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