先日(2009年12月1日)、上野動物園の子ども動物園にいるトカラ馬「琥太郎」の乳歯が1本抜けたのを確認しました。上の前歯(上顎切歯)です。
運動場から寝小屋に帰る途中、何かがポロッと落ちたので、拾ってみると琥太郎の歯でした(写真)。いいタイミングで落ちてくれたものです。
ウマはオスとメスで歯の数が違います。オスは40本(切歯[前歯]が12本、犬歯が4本、前臼歯12本、後臼歯12本)、メスは36本です(メスには犬歯がありません)。
みなさんはウマの歯が、私たち人間とおなじように、乳歯から永久歯に生えかわることを知っていましたか? ただし、すべての歯が生えかわるのではなく、前歯と前臼歯の計24本が生えかわります。抜ける時期は、前歯が2歳半から4歳半、前臼歯は2歳半から4歳で、生えかわる期間に幅があります。
琥太郎は現在、2歳9か月(2007年3月3日生まれ)。ちょうど歯が生えかわる時期ですね。
生後8か月で動物園にやってきた琥太郎の姿を今でも思い出します。仔馬らしいフワフワの体毛でした。しっぽもフワフワ。痩せて臆病だった琥太郎も、立派な体格になりました。一人前(?)に生意気な態度をとってくることもあります。おまけに歯まで抜けて……。しっかり大人への階段をのぼっている琥太郎の成長ぶりを、感慨深く感じる今日このごろです。
とはいえ、琥太郎には子どもっぽいところがまだまだ残っています。最年長の野間馬「えりか」を相手取り、「遊ぼうよ~」と一日中ちょっかいを出す琥太郎。えりかも放っておけばいいものを、けっこう相手をしてやっています。夕方になると、いちばん体の小さいえりかは、格闘の名残でしょうか、毛がボサボサになっていたり、琥太郎のよだれでベタベタになっていたりします。思わず、「えりか、おつかれさま」と声をかけてしまいます。
ウマの口の中を見るのは難しいかもしれませんが、琥太郎をごらんになるときは、口元にご注目ください!
・過去のニュース
動画「
トカラ馬が来園しました」(2007年10月撮影)
「
おかえり、琥太郎! 岩手から戻ったトカラ馬」
(2009年09月04日)
写真上 :琥太郎
写真中上:抜けた歯(咬合面が見える)
写真中下:抜けた歯(表側)
写真下 :抜けた歯(裏側)
〔上野動物園子ども動物園係 橋川真弓〕
(2010年01月04日)