多摩動物公園の園内に定着を目指す「地域ボタル」についての続報です。
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「水路の手入れとゲンジボタル幼虫の成長」(2013年04月26日)
2013年は、6月5日から7月3日の間に80〜100匹の2世代目のホタルが飛びました。6月中旬には苔に産みつけられた卵も確認できました。
卵の期間は約25日で、孵化し終わる8月には毎年水路周辺の草刈りを始めます。すぐ繁茂して邪魔ものになるアズマネザサは、この季節に刈るのが効果的とされています。また、水路を覆う草木を取り除き、水面に日光がよく当たるようにします。
しかし思わぬ天敵が現れました。水路周辺を飛び交うスズメバチです。水を飲みにきているのかと思うかもしれませんが、汲みにきているのです。真夏の暑さで、ハチの巣の内部が高温になり幼虫が死亡してしまわないように、巣の表面に水をかけてその気化熱を利用し巣を冷やします。そのため草刈りは、刺激を与えて刺されないように、天気が悪い日や飛んでいないのを確認にしながら慎重におこなってきましたが、まだ一部終わっていない状況です。
整備を始めてから5年目となり、流れは丘陵地にあるため土砂が堆積し川幅の縮小が見られ始めました。今後は、ホタルとその流れに生息している生物の環境を壊さない整備を進めていきたいと思っています。
写真上:飛び交うゲンジボタル
写真下:水を汲みにきたスズメバチ
〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 杉田務〕
(2013年10月18日)