先週のニュースで、ソデグロヅルのクチバシがのびてきた話を書きましたが、今回もソデグロヅルのクチバシの話です。
・先週のニュース
「のびるんです、クチバシが!」
以前ニュースでも紹介したソデグロヅルの「大アブちゃん」は、今でも変わらず飼育係に向かってくる日々を過ごしています。
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「ソデグロヅル『大アブちゃん』参上!」(2008年01月25日)
それは、人工授精をするために大アブちゃんを捕まえたときのことです。大アブちゃんのクチバシ前方の縁にギザギザの筋が入っていることに気がつきました(写真上をごらんください)。そのときは、「これではクチバシで攻撃されたとき、パチンと挟まれると痛いわけだ」と思ったのですが、ほかのソデグロヅルのクチバシはどうなっているのか気になりました。
クチバシのギザギザは、個体によってちょっとずつ違うようです。年齢を重ねた方が、深く筋が入っているような感じです。去年生まれの個体のクチバシにもギザギザが入ってはいますが、大アブちゃんよりは浅い感じです。
ソデグロヅルは、とにかく地面をよく掘っています。30センチくらい掘り下げて、埋まっていたビニールひもをほじくり出したこともあります。ギザギザが入っていた方が、掘ったりするには都合がいいのでしょうか?
ソデグロヅル以外のツルのクチバシはどうなっているのでしょう? オオヅルやアネハヅルのクチバシにはギザギザはありませんでした。タンチョウも、ギザギザはないように見えるのですが、デジカメで撮った映像を拡大してみると、なんとなく筋が入っているようにも見えます。
ところで先週のクチバシがのびる話で、なぜクチバシを切らずにおこうと思ったのか?は、もしかするとこのクチバシのギザギザが原因かもしれません。残った上クチバシのギザギザを見て、これを切ってしまうのはもったいないと思ったような気がします。
写真上:ソデグロヅル(10歳)のクチバシの先、ギザギザが見える
写真中:アネハヅルのクチバシ、ギザギザはない
写真下:タンチョウのクチバシ、浅いギザギザがある?
〔多摩動物公園南園飼育展示係 土屋泉〕
(2011年10月28日)