多摩動物公園で2010年5月、オオフラミンゴのひなが誕生しました(誕生の記事は
こちら)。
今回は、その後のひなたちの著しい成長のようすをお伝えします。
今年は5月から7月にかけて、全部で15羽のひなが生まれました。記録的な猛暑が続いた夏にも負けず、半年ほど経過した現在、体つきはほぼ両親と同じ大きさで、もうひなとは呼べないほどに成長しています。
生まれてしばらくのあいだ、ひなは親が分泌する栄養豊富なフラミンゴミルクと呼ばれる餌を口移しでもらいます。液状のフラミンゴミルクを受け取りやすいように、ひなのくちばしは短くまっすぐな形をしていますが、いまでは成鳥と同じく、太くて「く」の字に曲がった形に変わりました。
親と同じ大きさになっても、フラミンゴミルクを懸命にねだる姿がときどき見られます。一見奇妙な光景ですが、中身はまだ子どもなのでしょうか?
外見上成鳥と違うのは体の色です。現在ひなの羽色は薄くピンクがかった白ですが、翼にこげ茶色の羽が生えており、脚やくちばしは黒い色をしています。一見ちがう種類のフラミンゴのようです。全身がピンク色に変わるのは、必要な色素を含んだ餌を食べ、2年から3年後のことです。
生後3年ほどで性成熟に達し、繁殖期にはきれいなピンク色に染まった体で求愛のディスプレイをします。しかし、すべての個体がパートナーを見つけられるわけではありません。じつは、フラミンゴは体色のピンク色がしっかり出ていないと異性に相手にされないのです。
最近の研究によると、フラミンゴは繁殖期が近づくと尾の近くにある尾脂腺から、色素が含まれた脂を羽に塗りつけて“メイクアップ”することがわかりました。オスもメスも、もてるためにはおしゃれが必要なようです。
ところで、同時期に生まれたひなたちも、その大きさに微妙な差があります。一般的に、メスよりオスが大きいのですが、脚の長さに違いがあったり、性格面でも、係員との距離を決して縮めないものもいれば、怖がらずに近づいてくるものがいたりさまざまです。見た目は同じようでも、個性はとても豊かです。
今年生まれのひなたちも数年後にうまくパートナーを見つけられれば、また個性豊かななかまが増えていくことでしょう。日に日に色づいていくひなたちの成長にご注目ください。
・東京ズーネットBBの動画から
「
オオフラミンゴのひな成長中」(2010年7月撮影)
写真上:孵化後約1~2か月
写真下:孵化後約6か月
〔多摩動物公園北園飼育展示係 山口翔平〕
(2010年11月19日)