以前のニュースで、葛西臨海水族園「世界の海」エリアの「バハ・カリフォルニア」水槽で展示している、2尾のファインスポッテッドジョーフィッシュをご紹介しました。現在も2尾は元気に暮らしています。
ジョーフィッシュのなかまが海底に巣穴を掘ってくらすことは前回お伝えしましたが、ここ最近、展示中のファインスポッテッドジョーフィッシュが水槽のアクリル面に沿って巣穴を作っていて、そのすがたを間近に見ることができます。
この巣穴、本人にとっては上出来で、たいそう気に入っているようです。巣の入口部分には、サンゴのかけらをぐるっと一周並べてあり、とてもおしゃれな玄関です。ですが、よく見るとあれれ? かわいいお腹が横から見えちゃっていますよ。アクリルに沿って巣を作ったものですから、お客さん側から巣の中がまる見えなのです。
こんな機会はなかなかありません。せっかくなので、巣の断面を見てみましょう(写真)。水槽に敷いてあるサンゴのかけらや貝殻を組み合わせ、巣穴の内側をじょうずに固めているのがわかります。巣の広さは、きつすぎずゆるすぎず、体の幅にジャストフィットするサイズです。
深さはどのくらいでしょうか。残念ながら、見えるのは巣の入口から深さ半分程度。さらに深い部分は、アクリルの下方に続いていて見えません。
それにしても、うまく巣を作るものだと感心します。お家のリフォームにも熱心で、玄関の土手が崩れれば修理をしたり、好みのかたちの巣材を遠くまで拾いに行き、口で運んできたりします。しかし、他に気に入った場所があれば引越ししてしまいます。いつまでこの巣穴にいるかわかりませんが、今なら、“お腹チラリのまる見え巣穴”を見ることができるかもしれません。お見逃しなく。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 高浜由美子〕
(2008年02月29日)