葛西臨海水族園「世界の海」エリアの「南アフリカ沿岸」水槽で、ロックサッカーの稚魚の展示を始めました。

ロックサッカーの稚魚(アクリルケース内)
ロックサッカーはウバウオのなかまで、最大全長30センチもの大きさになります。今回展示した稚魚の全長は約2センチで、2年前に紹介した稚魚の子ども、つまり水族園で念願の3代目にあたります。残念ながら3世代展示とまではいきませんでしたが、親子の2世代展示となりました。これまでのロックサッカーの飼育記事は下記リンクをご覧ください。
・「
ロックサッカーの産卵」(2011年6月10日)
・「
ロックサッカーの2世代展示」(2013年5月3日)
・「
成長したロックサッカーの子どもたち」(2014年11月14日)
さて、この魚の特徴ですが、腹びれが吸盤状になっており、野生では岩などに、水槽内では壁面などに張りついています。その吸着力は、体が小さいからといって侮れません。

壁面に張りつくロックサッカー稚魚
裏の水槽から展示水槽へ移動する際、海水から出ないよう、スポイトでゆっくりと吸いこんで移動しようとしました。しかし、水槽の壁面にぴったり張りついたロックサッカーは微動だにしません。なんとか吸いこんだと思ったら、今度はスポイト内に張りついてしまいます。こうなってはもうお手上げです。小さいぶん、無理にはがそうとすると魚の体を傷つけてしまう恐れがあります。そのためうかつに手が出せないので、ロックサッカーがみずから動くのを地道に待つしかありません。稚魚だと思って油断していましたが、移動するのに手を焼かされました……。
そんなロックサッカーの稚魚たちですが、ケース内では身を寄せ合うようにじっとしている姿をよく見ます。しかし、ときにはその吸着力を十分に活かして、ケースの上面や側面など、あちこちに張り付いています。また、えさのアルテミア幼生が流れてくると、それをめがけてちょこまかと素早く動き回り、その動きはなかなか愛嬌があります。
無事に3世代目の繁殖に成功したロックサッカーですが、これからも世代を繋いでいくよう取り組みます。葛西臨海水族園にご来園の際は、ぜひ水槽内のその姿を観察してください。
〔葛西臨海水族園飼育展示係 加茂耕太朗〕
(2015年07月04日)