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続・新たな視点で見てみると(43)南アフリカの自然紹介(その2)
 └─2013/02/15

 前回に引き続き、南アフリカで見ることができた自然を紹介します。

「続・新たな視点で見てみると(42)」(2013年01月25日)

 今回はアフリカ大陸に生息する唯一のペンギン「ケープペンギン」をご紹介します。葛西臨海水族園で飼育しているフンボルトペンギンに近いなかまで、姿もよく似ています。現地ではアフリカンペンギンと呼ばれているようですが、鳴き声がロバに似ていることからジャッカス(雄ロバ)ペンギンと呼ばれることもあります。

 ケープタウンから喜望峰に向かう途中、ケープ半島の中程にある町サイモンズタウンには、ボルダーズと呼ばれる海岸があります。ここは保護区になっており、ケープペンギンが多数くらしています。いくつかのエリアに分かれていて、フォクシービーチには繁殖のための巣穴がたくさんあり、ペンギンを驚かせないように観察することができるようになっています。ボルダーズビーチは遊泳可能で、運が良ければペンギンと一緒に海水浴ができます。

 また、ここのペンギンは「町でくらすペンギン」としても有名で、繁殖のための巣を、海岸だけでなく町の中の庭やちょっとした植え込みなどにも作っています。今回訪れた夕方の時間は、海で魚を捕ってきたペンギンたちが土管を通って町に戻ってくるシーンを観察することができました。

【南アフリカの自然(その2)の動画】
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 ボルダーズの繁殖地としての歴史は以外と浅く、30年ほど前にひとつがいのペンギンが繁殖したことに始まります。ペンギンたちが新たな繁殖地を求めた理由は、タンカーからの油流出事故などにより元々の繁殖地だった島が使いにくくなったことが大きいようです。町を歩くペンギンのユーモラスな姿の裏には、ちょっと悲しい事実が隠れているのでした。

写真上:フォークシービーチ
写真中:巣穴のケープペンギン親子
写真下:土管を通って町へ

〔葛西臨海水族園飼育展示係 三森亮介〕

(2013年02月15日)



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