井の頭自然文化園の「モルモットふれあい」コーナーで年末恒例になってい「全頭シャンプー」については、
こちらのニュースでお伝えしました。
次は春に向けての「大増殖作戦」です。春になると、遠足シーズンとゴールデンウィークがやってきて、ふれあいコーナーは来園者でいっぱいになります。対応の態勢をととのえ、そしてなるべく1頭あたりの負担が多くならないよう、今のうちにたくさん産んでもらおうという作戦です。今、繁殖棟へ行くたびに、産まれているかな?と期待しながらのぞいています。
妊娠したメスは、出産のころ、お見合いをしたオスと別れます。妊娠期間は60~70日と長く、1回に2~4頭を産みます。出産後、メスは子どもと過ごし、2週間ほどで離乳をすると、メス(生後約半年)は「シャンプー」をしてふれあいコーナーにデビュー。子どもは同じような子どもを集めた「幼稚園」に入ります。幼稚園は1メートル四方の柵で囲まれたスペースです。
モルモットの赤ちゃんは生まれたときから毛が生えていて、目も見え、歩くこともできます。歯も生えているため、半日もすると餌を食べ始めます。モルモットは齧歯目(げっしもく)の中でも、赤裸の赤ちゃんを産む「ネズミのなかま」ではなく、なんと「ヤマアラシのなかま」なのです。大きな頭と丸々とした体に細い足をもち、ネズミやリスのような長い尾はありません。
最近の「幼稚園」は、約20頭が大入り満員、毎日が運動会です。朝は一列に並んでおしくらまんじゅう。ときどき列に入れず、他の個体に乗ってしまう子どももいます。ごはんを食べたら夕方までお休み──のはずが、何かに驚くと超短距離走が始まります。動物の世界での食うか食われるかの関係では、モルモットは食われる専門。これといってすばらしい「武器」をもっているわけではありません、逃げるが勝ちというわけです。ですから、ガラス越しに見るときでも、そっと、驚かさないであげてくださいね。
お昼すぎには、みんなで並んで外を見ながら日なたぼっこ。午後3時すぎのごはん前は、ピーピー!チィーチィー!と大合唱。あまりにも大きな声なので、ガラスの外側まで聞こえてきます。ごはんがきたら、パン食い競争ならぬ餌くい競争。いっせいに鳴きやみ、一心不乱に食べ始めます。
子どもたちの数がますます増え、大きさにもだいぶ差が出てきたので、2008年2月なかばには、一回り大きくなった子ども用に「小学校」(?)を増設しました。現在、お母さんといっしょの赤ちゃん、離乳したばかりの小さめの子ども、少し成長した子どもなど、さまざまな成長段階を見ることができます。先日はタオル地のようなモコモコの毛並みの赤ちゃんが生まれました。
今後、まずは子どもを産んだメス、その数か月後には子どもたちがモルモットふれあいコーナーにデビューします。これから数か月後のふれあいコーナーでは、デビューしたモルモットを何頭見つけられるでしょう? 井の頭自然文化園でその姿をどうぞごらんください。
写真:2008年2月生まれのモルモット
〔井の頭自然文化園飼育展示係 正木美舟〕