井の頭自然文化園は、
(公社)日本動物園水族館協会と環境省が協力して進める
ツシマヤマネコの保護増殖事業に2006年から参画しています。2018年6月掲載の「
ツシマヤマネコ飼育係は「糞」が大切!!」にて日常のちょっとした飼育係の仕事についてお伝えしましたが、糞から得られる情報は繁殖に関わるホルモンだけではありません。

非公開エリアで飼育中のツシマヤマネコ「フユト」(オス)
飼育係は清掃時に糞の色や形、臭いや内容物など細かくチェックし、動物たちの健康管理に毎日努めています。
写真はヤマネコたちが運動場に生えているササの葉を食べて実際に排出した糞です。自分の毛繕いや獲物の毛が口から入ったときなど、草を食べて毛を糞と共に体の外に出しています。イエネコたちが草を食べる「ネコ草」をご存じの方も多いと思いますが、ヤマネコたちにも同じような行動が見られます。ただの葉が入った糞ですが、体の状態を把握することにも役立ち、ヤマネコたちが草を探す行動をしたこともわかります。

ツシマヤマネコのフユトの糞
文化園ではえさとして馬肉や鶏頭、マウスやキャットフードなど1週間の量を決めてカロリーなどを調整して与えていますが、野生のヤマネコたちはおもにネズミやモグラを捕らえ、ときには昆虫や鳥、ヘビやカエルを食べることもあります。食べたものは栄養となり、やがて残りが糞になります。
2023年生まれのアムールヤマネコの3兄弟を飼育しているヤマネコ舎(サル山側)では、大切な糞の場所は大きなガラスの前に多く見られます。さて今日はどんな糞なのか、じっくり観察してみましょう。
ヤマネコ飼育係の動物日誌……「糞からのメッセージ」でした。
〔井の頭自然文化園飼育展示係 唐沢〕
(2024年11月21日)