武蔵野の自然が残る井の頭自然文化園内では、この時期毎年のようにニホンミツバチが営巣します。2013年は、水生物園のラクウショウの根本の樹洞に巣を作りました。働きバチがしきりに出入りして花粉や蜜を集めてきています。
ミツバチといえば、蜂蜜やローヤルゼリーでおなじみのセイヨウミツバチが有名ですが、こちらはその名のとおりヨーロッパ周辺が原産です。日本には在来種としてニホンミツバチが本州以南の広い地域で生息しています。ニホンミツバチは公園や街路樹などからも蜜を得るので、都市部でも見かけるミツバチです。
ニホンミツバチはセイヨウミツバチと違って、一部の個体が新しい群れを作るために別の場所に飛んで行ってしまったり、養蜂場から逃げたりする性質が強く、養蜂にはあまり向きません。しかしダニなどの外敵や伝染病などへの抵抗力も強く、なによりも巣を襲いに来たオオスズメバチに対して集団で防衛する方法をもっているのは、在来種ならではのことではないでしょうか。
・
「ニホンミツバチの季節」(2006年06月16日)
ハチにはお尻の針で刺すという危険なイメージがありますが、ニホンミツバチは性格がおとなしいので、こちらが手を出さなければ刺してくることはめったにありません。写真を撮るために巣の入口から1メートルぐらいのところにいましたが、働きバチたちは気にせずに花を探しに飛んでいっていました。みなさんもこの機会に、ぜひじっくりとニホンミツバチを観察してみてください。
写真上:ハチが営巣している園内のラクウショウ
写真下:足に花粉団子をつけて戻ってきた働きバチ
〔井の頭自然文化園教育普及係 對馬恵理〕
(2013年05月17日)