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ニホンミツバチの季節──井の頭 2006/06/16
◎文化園四季折々

 ニホンミツバチは、北海道から九州まで、広く野生種として生息しています。都市では公園や街路樹に蜜源となる木々が植えられるようになり、ニホンミツバチがくらしやすい環境も増えました。最近では、都市化された地域に点在する雑木林、神社、公園における古木の樹洞でよく見られます。井の頭自然文化園でも、本園や分園の数か所で確認されており、この季節には、樹洞から出入りするすがたが観察されます。

 ニホンミツバチのコロニー(集団)には、1匹の女王バチと約数千~2万匹の働きバチがいます。餌は花蜜や花粉。蜜は巣に持ち帰りますが、花の少ない冬はたくわえた蜜を利用します。花粉は後脚の花粉かごにダンゴ状に丸めて持ち帰ります。花粉は幼虫の餌やロイヤルゼリーの原料になります。

 ニホンミツバチの外敵はさまざまですが、オオスズメバチへの対処法はユニークです。昆虫を食料とするオオスズメバチは、晩夏から初秋にかけて昆虫が少なくなると、他種のハチの巣を襲います。おだやかな性格で人を刺すこともめったにないミホンミツバチですが、オオスズメバチに襲われるとまず巣に引きこもり、外でしびれを切らしたオオスズメバチが巣内に侵入するのを待って、その首に毒針を突き刺します。同時に、百匹以上がオオスズメバチを取りかこみ、蒸し殺してしまうのです。ニホンミツバチはオオスズメバチより高温に強いという特性を活かした行動です。

 園内でニホンミツバチを見かけても、手を出さない限り、刺されることはまずありません。ただし、ミツバチの巣を襲うためにスズメバチが飛んでくることもあります。スズメバチを見つけたら、その場からそっと離れて、管理事務所までご連絡ください。

〔井の頭自然文化園管理係 鈴木正夫〕

写真上:ニホンミツバチのコロニー
写真下:ニホンミツバチ注意の看板

(2006年6月16日)



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