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100だてのいえにナメクジの赤ちゃん誕生
 └─2011/04/15

 特設展示「100かいだてのいえのどうぶつたち」は、以前も紹介したように、岩井俊雄さんの絵本『100かいだてのいえ』『ちか100かいだてのいえ』の世界と、本物の動物たちの世界を合体させたユニークな展示です。

特設展示のお知らせ

 今回は、生きた動物を展示している動物園ならではの、おめでたいニュースをお知らせします。なんと、「100かいだてのいえ」に展示中のナメクジに赤ちゃんが誕生しました。

 一般的に嫌われ者のナメクジ。同じ嫌われがちな生き物のヘビやクモには熱心なファンがいますが、ナメクジ大好きという人は今まで聞いたことがありません。

 一方、同じように陸に進出した巻貝のなかまカタツムリは、さまざまなグッズのモチーフとしても頻繁に登場するほどの親しまれようです。殻があるかないかで、ずいぶんな扱いの差に、思わずナメクジに同情したくなってきます。

 「あのネバネバが気持ち悪い」とも言われますが、あのネバネバは、殻のないナメクジにとって、とても大切な役割をはたしているのです。
 カタツムリは、乾燥した場所では、殻口にフタのような膜を張って閉じこもり、乾燥を防ぎます。逃げ込む殻を持たないナメクジは、カタツムリ以上に多くの粘液を出して乾燥を防いでいるのです。
 展示中の赤ちゃんは、体長5ミリにも満たない小さな小さなからだですが、這ったあとには一丁前にしっかりと粘液が残ります。

 もうひとつナメクジやカタツムリの面白い特徴は、雌雄同体であるということ。一匹の個体にオス、メス両方のはたらきをする器官がそろっているのです。どの個体も精子をつくることも、卵を産むこともできるのです。

 現在、展示しているナメクジは4匹で、どの個体が産卵したのかは不明ですが、最初の卵を発見してからさらに2回、一度に30個ほどの卵が産み付けられました。可愛らしい赤ちゃんナメクジとともに、孵化を待つタマゴもごらんになれます。

 また、『ちか100かいだてのいえ』で隠れた人気のシマミミズも繁殖し、か細い植物の根っこのような赤ちゃんが成長中です。 こちらもどうぞお見逃しなく!

写真上:特設展示の会場風景
写真中:ナメクジの赤ちゃん
写真下:ナメクジの水槽

〔井の頭自然文化園教育普及係 高松美香子〕

(2011年04月15日)



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