前回ご紹介した特設展示「小さなふしぎ 大きな発見──いきものは遊び友達」では、土や水のなか、木の上など、さまざまな環境でくらす身近な生き物を25種類ほど展示しています。
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「特設展示開催中」のお知らせ
今回は、土のなかでくらす身近な生き物にスポットを当ててみましょう。このコーナーで一番の見どころは、「ハサミムシ(ハマベハサミムシ)」をおいてほかにはありません。
ハサミムシのお母さんが卵の世話をしているようすを観察できます。メス親は卵を舐めてきれいにしたり、積み替えたり、敵が来ないかと見張りをしたり、何かと忙しそうにしています。
ハサミムシのなかまは、メス親が卵や幼虫の世話をすることが知られています。コブハサミムシの場合は、メス親は食べ物もとらず卵や幼虫を守り、最後には自分のからだを幼虫に食べさせるという壮絶な子育てをしますが、展示中のハサミムシは、もう少しお気楽(?)で、メス親は卵から離れ、餌のコオロギをムシャムシャと食べています。
100個ほどのハサミムシの卵が生まれてから約2週間が経ちました。2011年10月第1週には、卵のなかの幼虫が透けて見え始め、間もなく孵化しそうです。卵から出てきたばかりの白いからだをした幼虫の愛らしい姿を見られるのはほんの数日ですので、どうぞお見逃しなく!
ほかにも、子どもたちに人気の高いオカダンゴムシやワラジムシ、線路の枕木に似た姿のマクラギヤスデが枯葉を食べるところや、クロオオアリの巣の中のようす、運が良ければアリジゴクが獲物を捕らえるシーンも見られるかもしれません。
とても小さな世界ですが、あなたも土の中の住人になった気分で腰をすえて、じっくりと向き合って観察してみてください。きっと今まで気付かなかった生き物たちの面白い姿や行動を発見できるはずです。
写真上:ハサミムシの卵
写真中:マクラギヤスデとワラジムシ
写真下:クロオオアリを観察中
〔井の頭自然文化園教育普及係 高松美香子〕
(2011年10月08日)