インド洋
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インド洋のみんなは、とっても陽気で、おしゃべりだったよ。 「ねえ、ワタシたちのヒレってステキでしょ?天使が羽を広げたような姿に似ているから、エンゼルってついたのよ」 | |
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「目つき悪いって言われるけれど、
それでも一応、エンゼルってつくのさ」
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青地に黒い線がスーッと通ったのは、ホンソメワケベラ。
「ボクは、自分より大きな魚に近寄って、 口の中やエラの中のお掃除をするのが好きなんだ。 「掃除魚」とか、「医者魚」とか、「とこや魚」っていうあだ名もあるよ。 キミの口の中も、お掃除してあげるよ。ほら、口をアーンてしてみて」 | |
ちょっとくすぐったかったけれど、いい気持ちだったなぁ。
ホンソメワケベラとそっくりなニセクロスジギンポっていうのもいるんだよ。 とっても良く似ているんだ。 ホンソメワケベラの方が、口が尖っているよ。お掃除しやすいようにできているんだね。 探して、見比べてくてね。 オーストラリアの水槽には、海藻みたいなのや、 大の字に寝ているヒトデがいたよ。 のんびりした所だったなぁ。
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大西洋
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「誰だ!ワシの水槽に勝手に入ってきたヤツは」 「あっ、ごめんなさい。ボクはマグオです。今、冒険の途中なんです」 「冒険? 何だ、それではお前は、グースという鳥を知っておるか?」 「いいえ、会った事がないです」 「そうか・・・、何でもワシに似た味がするそうじゃ。 もし、合ったらよろしく言っておいてくれ。 じゃあ、ワシは昼寝にもどるとするか。ふあぁぁぁぁ・・・」 あくびをした時の、グースフィッシュの口があまりにも怖くて、 ボクは直ぐにサヨナラしたんだ。
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「突然ですが、なぞなぞです」って、 北海の水槽に辿りついた頃、底の方で誰かが言ったんだ。 | |
「ボクは、ヒラメでしょうか? カレイでしょうか?」 しばらく考えたけど、わからなかったから、 「降参しまーす」って言ったら、その魚は嬉しそうに、 「ボクは、カレイの仲間のターボットです。ねーねー、ボクたちのすごい所、教えてあげようか?あれ、マグロくん、何だか聞きたくなさそうだねぇ。とっておきの話なのに・・・・」 「そんな事ないよ、ターボットくん。是非、教えて欲しいなあ」 「そう?じゃあ、とっておきの話なんだけどね、 人間は、怒ったり、困ったりした時、顔色を変えるらしいけれど、 僕たちは、頭の先からしっぽの先まで、体色変化ができるんだ。 すごいでしょ?ほら、こんなふうに・・・」 っていいながら、ターボットは砂の中に潜って行ってしまったんだ。
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そしたら今度は、岩にくっついて休憩している魚がいて、 「やあ、ボクはランプサッカー。ダンゴウオの仲間です。 ボクたちの悲しい話、聞いてくれる?」 って、言ったんだ。 「ボクたちの卵は、チョウザメの卵(キャビア)に味が似ているからって、 缶詰にされちゃうんだ。 これ、どう思います?」
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「せめて、しっかりボクたちの姿や名前のラベルを貼ってくれているといいんだけど・・・」 って独り言みたいな事を言ったの。 「それから、ボクたちはあまり泳ぎが得意じゃないから、 少し泳いで、岩にくっついて休憩するんだ。 その時、お腹の吸盤が役にたつんだよ。 ボクは、たいていこの辺りにいるから、また遊びにきてくれよ。 缶詰について、キミとゆっくり話がしたいんだ」 ボクは、あまり気が乗らなかったけれど、一応お礼をいって泳ぎ去ったんだ。
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そして、カリブ海へと進んだんだ。 |