ボクは、葛西臨海水族園に住んでいる、クロマグロの「まぐお」。
ねえ、ボクの泳ぎっぷりって、かっこいいでしょ?スイースイーって、とっても速く泳ぐんだよ。
三角形のヒレと、三日月みたいな尾ビレが気に入っているんだ。背びれはね、付け根の所に溝があって、使わない時はたたみ込んでおけるんだ。腹びれも、使わない時はお腹にぴったりくっつけておけるし、胸びれは、たためるんだよ。
他にも、海の生き物には、いろいろな工夫をもった仲間がたくさんいるんだ。
今日は、ボクがこの水族園を冒険した時に出合った、仲間たちのお話をするね。

ある日、水槽の中を泳いでいると、大きなマグロが寄ってきて、 「もう、冒険はすんだのかい?」て言ったんだ。
「え! 冒険てなあに?」ってボクが聞くと、 「それはとても楽しいものだよ。さあ、行ってきてごらん」と言いながら、 冒険への入口を教えてくれたの。
ボクは、ワクワクしながら、その入口へ向かって泳いでいったんだ。

大洋の航海者

しばらく泳いでいると、平べったくて、ニコニコ笑っている魚に出会ったの。 「キミの名前は?」って聞くと、 「ボクの名前はエイ。“エイ、エイ、オー!”のエイさ」って言いながら、 長い尾っぽをビュンって上に振り上げたの。 鋭いトゲが着いていて、ちょっと危なかったよ・・・。 「どうしてニコニコ笑っているの?」って聞いたら、 「だって、毎日いろんな人がボクたちを見に来て、おもしろいんだもの。 大きい人も、小さい人も、みんなガラスにひっついてボクたちを見ているんだよ。 まん丸の目や、三日月の目をしながら」って言ったの。
本当だ・・・。


(トビエイ→2F 大洋の航海者)


そしたら、急にトンカチみたいな頭をしたヤツが、 すごい勢いでボクたちの間を通りすぎて行ったの。
「おっと、ごめんよ。俺様はサメ。アカシュモクザメだよ」って言いながら。 不思議な目だなぁ・・・前が見えているのかなぁ・・・


(アカシュモクザメ→2F 大洋の航海者)


(アカシュモクザメ→2F 大洋の航海者)


ボクは追いかけたんだけど、追いつけなかったよ。 そして、気が付くと「世界の海」へたどり着いていたんだ。

太平洋T・U


ずーっと昔、地球は1つの大陸と、1つの海しかなかったんだ。 そしてある時、大陸が分かれ、海が区切られ、海流が変化し、 それぞれが特徴をもった海になったの。 そして、その海にくらす魚たちも、環境に適用できるように、 少しづつ進化していったんだ。 ボクたちの体の不思議には、理由があるって事さ。 「世界の海」には、そんな不思議な魚たちが海別に暮らしているんだよ。

「やあ、よくきたね」
「わっ! びっくりした。キミの名前は?」
「メガネモチノウオだよ。ナポレオンフィッシュとも言われてるよ。 頭の所が、ナポレオンの帽子に似ているんだって。 ここは、太平洋の水槽だよ。どう? 気に入った? ボクは、このトンネル岩がお気に入りなのさ」 そう言いながら、メガネモチノウオはニヤッと笑ったんだ。 分厚い唇から、小さな鋭い歯が見えたよ。


(メガネモチノウオ→1F 太平洋T→南シナ海)


(1F 太平洋T→南シナ海)

  
(1F 太平洋T→カナダ海)

“ベラ科”っていう種類の魚の中には、 最初はメスで、体が大きくなったらオスになる物がいるんだって。
今、メスなのか? オスなのか? 体の色模様でわかるらしい。 変わる途中の時っていうのも、あるんだって。 すごいねぇ。 因みに、ボクは生まれた時からオスです。

あれ、何だろう? 半分土の中に潜って口をあけてるぞ・・・。 何が入っているのかなぁ。
「ボクは、ブルズアイジョーフィッシュのお父さんです。 大切な卵を口の中に入れて、守っています。 あまりお喋りしすぎて、飲み込んじゃうと大変だから、 自己紹介はこのくらいにします。 でも、卵からかわいい稚魚が生まれたら、また見にきてね」


(ブルズアイジョーフィッシュ→1F 太平洋U→バハカリフォルニア)

海の生き物って、いろいろな所で子育てするんだなぁ。 口の中、お腹の中、海草や珊瑚の中、土の中や岩の下。 ナーサリーフィッシュのお父さんは、額の先がフックのように突き出ていて、 そこに卵をひっかけて育てるんだって。


(ナーサリーフィッシ→1F 太平洋U→オーストラリア北部)

それに、子育ての方法もいろいろ。 オスが育てたり、メスが育てたり、ペアで育てたり、 自分ひとりで生きていくタイプもいる。 できるだけ種の保存ができるように、 さまざまな知恵をしぼって工夫しているんだね。

太平洋の次は、どこだろう・・・なんだか暖かい海だなぁ。 それに、カラフルで綺麗な魚が多いぞ。
「いらっしゃ。ようこそインド洋へ」
「さあ、あなたも一緒に踊りましょう」
「え!ボクは踊れないよ・・・」
「大丈夫、波に身をまかせて」
「さあ、さあ、ここは陽気な南の海」
「毎日が、パーティーなのよ」