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ニホンツキノワグマ、今年も冬眠準備中
 └─上野  2012/11/30

 上野動物園では、冬の定番になったニホンツキノワグマの「冬眠チャレンジ」ですが、2012年はメスの「ウタ」(1歳)と「クー」(推定7歳)の2頭が現在冬眠準備中です。

 冬眠チャレンジは、「クマたちの丘」コーナーで、本来のクマの生理・生態に合った冬眠中のようすを展示することを目的に、2006年からニホンツキノワグマを対象におこなっている取り組みです。冬眠させるために、「展示室」「準備室」「冬眠ブース」の3部屋を用意しました。このうち実際に冬眠中に使うのは、準備室と冬眠ブースの2部屋です。準備室は冬期の東北地方の環境を再現できるよう室温をマイナス5℃まで下げることができ、冬眠ブースは、冬眠穴を模してあるだけでなく、防音設備や体重計、音声マイクが設置されています。また、この2部屋の中をカメラで撮影し、観覧通路側のモニターに映像を映して来園者の方に冬眠中のクマの姿を見ていただこうという試みです。

 クマの冬眠に関してはまだ解明されていないことが多いため、冬眠中の出産や、親子2頭での冬眠などにも取り組み、生理・生態についての研究も進めています。

 今年施設内で冬眠させる予定のウタは、日中放飼場に出すか、出していない時間帯はこの3部屋で過ごさせ、夜間は冬眠したときと同じように準備室と冬眠ブースの2部屋に慣らしています。 クーは、2011年にメスの「タロコ」(推定6歳)と同様、通常の寝室で冬眠させる予定です。

「ツキノワグマ、今年は2頭が冬眠」(2011年01月14日)

 クーは少し神経質なところがあるせいか、以前この場所で冬眠しなかった経験があるので今回は11月から準備に入っています。

 ウタもクーも順調に体重が増加し、環境にも慣れてきて冬眠準備は万全です。動物の状態にもよりますが、例年通り12月中旬〜下旬には冬眠に入るのではないかと思います。

 なお、ツキノワグマ放飼場にあった栗の木を囲む電気柵を撤去し、丸太や消防ホースで新たな遊具を作ったので、以前より上下にも立体的に行動できるようになりました。ツキノワグマが冬眠する前、野生のように積極的に餌を探し回るようすが見られます。

写真上:ブイで遊ぶ「ウタ」
写真下:ハンモックで寝る「クー」

〔上野動物園東園飼育展示係 野島大貴〕

(2012年11月30日)



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