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バードハウスのインコのくらし
 └─ 2023/06/13
 上野動物園の東園にあるバードハウスには、インコ目インコ科の鳥が2種類います。2階のルリゴシボタンインコと、1階のコミドリコンゴウインコです。同じインコのなかまですが、上野動物園での飼育方法は大きく異なります。

ルリゴシボタンインコ
コミドリコンゴウインコ

 インコのなかまは基本的に群れで生活する生き物です。当園のルリゴシボタンインコも50羽以上の群れで展示し、その中で繁殖もしています。インコどうしのコミュニケーションや、ときには色鮮やかな鳥たちが群れで一斉に飛ぶようすも見ることができます。

 この美しい群れを維持するには難しさもあります。健康管理の面では、1羽1羽のくちばしの長さや体の汚れ、羽が整っているかを注意して毎日観察をおこなっています。もし体調の悪い個体がいた場合は、群れから隔離して治療をおこないますが、回復後に群れに戻す際にも注意が必要です。まずは隔離していた個体を鳥カゴごと群れの中に入れて、なかまたちとお見合いさせ、数日経ってから放します。このように段階を踏むことで、お互いに受け入れやすくし、安全に群れに戻すことができます。


ルリゴシボタンインコの展示場

 コミドリコンゴウインコは、ケージに1羽だけで飼育しています。上野動物園にコミドリコンゴウインコが1羽しかいないこともありますが、ほかの種類の鳥といっしょに飼育していないことには理由があります。

 このコミドリコンゴウインコは、じつは8歳まで個人が飼育していたものです。2006年に当園に来園した際に、ほかの鳥との同居飼育を試みましたが、長いあいだ1羽で飼われていたため、ほかの鳥たちとの同居が逆にストレスになってしまいました。鳥よりも人とのコミュニケーションを好み、来園者のすぐそばで飼育するほうが落ち着いていることから、現在は観覧通路で飼育展示しています。


コミドリコンゴウインコの展示ケージ

 今年で25歳になりましたが、健康状態は良好です。コミドリコンゴウインコとしては高齢になったので、より一層健康管理に気を配り、最近ではケージの中にシラカシなどの枝葉やインコ用の遊具の設置も試しています。人との関わり合いがとにかく好きで、今のところ新しい遊具にはあまり興味を持ってくれませんが、今後も工夫をしながら日々の生活に刺激をあたえ、生活の質の向上を目指します。

 ルリゴシボタンインコとコミドリコンゴウインコは、同じインコでも対照的な飼育方法をしています。コミドリコンゴウインコの飼育方法は、動物園での飼い方のイメージと異なるかもしれませんが、特殊な経緯のあるインコだということをご理解いただければと思います。今後もわたしたちは、どちらのインコに対してもよりよい飼育環境を模索していきます。

※上野動物園では現在、個人からの動物の引き取りはおこなっておりません。

〔上野動物園東園飼育展示係〕

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(2023年06月13日)



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