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ジャイアントパンダ「シャオシャオ」と「レイレイ」の親離れ、そして新しい放飼場デビュー!
 └─ 2023/04/23
 ジャイアントパンダの「シャオシャオ」と「レイレイ」は、2023年3月19日の夕方に母親の「シンシン」から離れ、新たに2頭でのくらしをスタートしました。今回はシャオシャオとレイレイの親離れのステップと新しい放飼場での生活のようすについてご紹介します。

シャオシャオとレイレイの親離れ

 ジャイアントパンダは単独で生活する動物です。幼いころは母親やいっしょに生まれたきょうだいといっしょにすごしますが、1歳半から2歳ごろに母親のもとを離れていきます。その際、母親は攻撃的な態度を示して子のひとり立ちを促すとも言われています。

 シャオシャオとレイレイは1歳半のころにはタケをしっかり食べられるようになるまで成長していましたが、当園にとって初めての双子ということもあり、親離れの時期は慎重に判断しようと考えていました。そうしたなかで、2023年2月ごろからシンシンの態度に変化が見られてきました。2頭が授乳を要求してくると、避けるように移動したり低いうなり声を出したりすることが増えてきたのです。このまま同居を続けていると、子に大きなケガを負わせてしまう可能性もあるため、3月10日より2頭の親離れの準備を進めることにしました。

 親離れの準備は、2018年の「シャンシャン」のときと同じように4つのステップを踏むことで、段階的に母親と離れてくらす時間を長くしていくかたちで実施しました。

 最初のうちはシンシンがいない時間が短かったため、2頭にそれほど影響はありませんでしたが、ステップが進んでシンシンのいない時間が長くなると、シャオシャオは鳴いて母親を探すような行動を見せ、レイレイは室内や放飼場をうろつくような行動を見せるようになりました。シャオシャオは以前からシンシンに積極的に絡むことが多かったため、おおむね予想していたとおりの反応でしたが、2頭に対して我関せずの態度をとりがちだったレイレイも、母親の不在という大きな変化にはさすがに落ち着かなかったようです。しかし、2頭でいることが良い方向に働いたのか、お互いに寄り添いながら支え合うようにして、次第に以前のように落ち着いて採食や休息をするようになりました。

 そして、3月19日の夕方を最後に、2頭はシンシンと完全に離れました。現在は母子ともに大きな問題は見られていませんが、今後も注意深く観察を続けていきます。

新しい放飼場デビュー!

 親離れをしたあとの2頭は、室内展示3号室と屋外放飼場Dで生活することになりました。室内展示3号室は以前にシンシンとすごしたことのある部屋だったため、2頭の行動をある程度予測できることから、それほど心配はしていませんでした。しかし、屋外放飼場Dは初めて使用する場所なので、こちらが思いもよらない行動をとる可能性があります。さらに、動物と観覧者がガラスで隔たれていないため、聞きなれない人の声や物音などに怖がったり、そもそも外に出ていかないかもしれないといった不安もありました。

 そんな心配をよそに、3月20日の初めての放飼では、すぐにシャオシャオが先陣をきって出ていき、マイペースなレイレイもそれについていくようにして出ていったのです。その後は2頭でいっしょに放飼場全体を探索してまわり、モート(空堀)の下をのぞいたり、水を溜めたプールに入ったり、木に登ったりするなど、新しい場所を確認するかのようなさまざまな行動が観察されました。


初めて屋外放飼場Dに出たレイレイ(左)とシャオシャオ(右)
(撮影日:2023年3月20日)

 初日は短時間の放飼だったこともあって採食や休息は見られませんでしたが、翌日以降は日に日に落ち着いてすごすことができるようになっています。現在、レイレイはすでに成獣と同じように採食や休息をするようになりました。一方のシャオシャオは、まだ不安なのかレイレイのそばにいることが多く、レイレイの行動に触発されるように採食や休息をしていましたが、ここ最近は少しずつ単独でもできるようになっており、日々成長が感じられます。

 これからも新しい環境でいろいろなことを経験し、それぞれのペースで成長していってほしいと思います。


【動画】シンシンがシャオシャオ、レイレイから離れるようす(撮影日:2023年3月19日)
【動画】放飼場Dのようす(撮影日:2023年3月20日)

〔上野動物園西園飼育展示係〕

(2023年04月23日)



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