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ゾウの未来に向けて
 └─ 2023/08/04
 多摩動物公園の「アジアゾウのすむ谷」では、アジアゾウの繁殖のため、2023年5月30日以降、休園日以外のほぼ毎日、午前中の1時間程度、運動場で「ヴィドゥラ」(オス、15歳)と「アマラ」(メス、18歳)を同居させています。

 同居中はいっしょにえさを食べたり、運動場を散策したりと仲のよいようすを見ることができます。アマラはふだんすごすことのないオスの運動場に興味があるのか、水で遊んだり、フィーダーを触ったりと有意義にすごしています。2頭いっしょにプールに入るようすも見られました。


オス舎運動場を歩いているようす(左:ヴィドゥラ、右:アマラ)

 同居初日からヴィドゥラがアマラに後ろから乗りかかる「マウント」行動が確認でき、同居9日目には交尾も確認することができました。しかし、その後交尾が確認できたのは数回程度にとどまり、アマラも毎回受け入れるわけではなく、足をあげたり腰を落としたりと拒否するようすも見られました。

 2頭を離した方がよいのではないかと心配にもなりましたが、今は2頭の繁殖のための準備期間でもあり、そのままようすを見ました。すると、ヴィドゥラもアマラが嫌がるそぶりを見せると、しつこく追うことはなく、むしろ2頭を分けるときの方が苦労したほどです。交尾を嫌がることもある一方で、アマラがヴィドゥラと離れたくないのか、飼育係がアマラを呼んでもなかなか帰ってこないということもありました。


マウントのようす(鼻を乗せているのがヴィドゥラ)

 動画は、プールでマウントをしていた日のようすです。交尾は確認できませんでした。

 今回の交尾で妊娠に至ったとしても、ゾウの妊娠期間は約21〜22か月ととても長いので多摩動物公園で親子のゾウが見られるのはもっと先の話になります。私たち飼育係も繁殖に向けて、アマラの室内トレーニングなどをおこない、力を合わせてゾウたちの心身の健康管理に努めていきたいと思います。

 いつの日か、子ゾウが生まれることを期待して、ヴィドゥラとアマラのようすを見に、アジアゾウのすむ谷にぜひお越しください。

※同居は動物の健康状態や当日の天気などによって中止をする場合もあります。

〔多摩動物公園南園飼育展示第1係 髙石〕

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