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大人の階段をのぼるアジアゾウたち「アマラ」と「ヴィドゥラ」
 └─2017/10/20

 多摩動物公園のアジアゾウのメス「アマラ」と「ヴィドゥラ」がスリランカから来園し、今度の冬で5年を迎えます。体の大きいゾウとはいえ、当時8歳のアマラと5歳のヴィドゥラは、まだあどけなさが残る子どものゾウでした。

アマラ(上)とヴィドラ(2013年10月)
少し小さい頃の2頭。左がヴィドゥラ、右がアマラ。

 最初は体が一回り大きいアマラの方が力比べでは強く、ヴィドゥラのえさを横取りすることもありました。それでもヴィドゥラが横になると、アマラがヴィドゥラを守るように足で挟み込んで立つ姿が頻繁に見られ、血縁のない2頭ですが「お姉ちゃんと弟」といったようすでした。

 それから数年、現在では体の大きさが逆転し、2頭の関係も変わってきました。最近は2頭にえさを与えるとき、ゾウたちの立つ位置とタイミングに注意しないと、今度はヴィドゥラがアマラを押しのけてえさを横取りしてしまうようになりました。

 屋内と運動場を出入りさせるときも、ヴィドゥラが先に動いて陣取ってしまうとアマラが警戒して動かなくなることもあります。そこでゾウたちの移動の順番にも気をつけなければなりません。

現在のアマラ(左)とヴィドゥラ(右)
ヴィドゥラの側頭腺から分泌物が出ている

 また、とくに大きな変化として、ヴィドゥラは「側頭腺」と呼ばれるこめかみの部位から分泌物が出てくるようになりました。これはおとなのオス特有の生理現象「ムスト」と呼ばれる時期の指標にもなる現象です。この期間のゾウは気性が荒くなる傾向があります。

 ヴィドゥラは2014年秋頃から側頭腺の分泌物が出始めましたが、それ以外の兆候は認められず、まだ本格的なムストと呼べるほどの変化は見られていません。しかし、先月(2017年9月)から隣の部屋でくらすオスのアジアゾウ「アヌーラ」がムスト期間に入ると、ヴィドゥラも合わせたかのように側頭腺から分泌物が出始め、おたがいの存在を今まで以上に意識するようすが見られるようになりました。最近は突然大きな声で鳴くこともあり、ヴィドゥラの体の中で変化が起きている影響なのではないかと思います。

 担当者として、ゾウたちのこのような変化は成長の証として喜ばしいことと感じます。今のところ2頭の関係は良好ですが、今後も成長していくにつれてより変化していくでしょう。もし2頭の関係が悪くなったときに別々の部屋へ分けられるよう、数年前には寝室を増やし、そこにゾウを入れる練習も繰り返しきました。

 ゾウたちがなるべくストレスを感じることがなくなるよう、われわれ飼育係はさまざまな局面で工夫を重ねています。ご来園の際は、おとなへと成長中のゾウたちをじっくりご覧ください。

〔多摩動物公園南園飼育展示画係 伊藤達也〕

(2017年10月20日)


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