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チンパンジー「フブキ」の成長
 └─2015/09/04

 現在、多摩動物公園ではチンパンジー19頭(オス6頭、メス13頭)を飼育しています。昨年(2014年)2月にはオスの「フブキ」が誕生しました。その後のフブキの成長のようすをお伝えします。

チンパンジーの赤ちゃん誕生(2014年2月13日)

チンパンジー「フブキ」と仲間たちの近況(2014年7月25日)

 生後6か月をむかえた昨年8月、フブキは母親「モモコ」の背に乗りました。その後、母親からだんだん離れはじめ、最初は1メートル、次は2メートルと徐々に距離を伸ばし、9月後半には母親のモモコから5メートルくらいまで離れました。

 チンパンジーは母親や兄弟姉妹だけが子育てをするわけではありません。群れの個体がみんなで子どもの相手をします。最初は母親が気の許せる相手にだけ貸し出して子守をしてもらったりしますが、フブキもどんどん自分で動けるようになるので、いろいろな個体と接するようになります。年齢や雌雄を問わず、血縁関係のない個体も遊び相手になったり、子守をしたりするのです。

 生後9か月に育った昨年11月頃から、若いおとなのメス「モコ」や「ミル」がフブキを腹に抱えたり、背中に乗せたり、積極的に子守をし始めました。これは若いメスにとって、自分が母親になったときの子育ての練習にもなります。また、おとなのオス「ケンタ」が遊び相手になることもありました。

ミカンと遊ぶフブキ
ぐっすり眠るフブキ

 今年の5月頃からフブキは運動場に張ったロープを使って、左右や上下に移動する行動が盛んになり、6月中旬には姉の「ミカン」といっしょに、鉄塔に吊るしてある大きなブランコのロープを伝って、鉄塔の一番下にある高さ約5メートルの休息場所へ自力で登る姿が観察されました。

 7月に入ると、フブキは子どもだけが入れる「キッズルーム」にひとりで入るようになりました。ここは透明なポリカーボネート板で来園者スペースと仕切られているのですが、フブキは近寄ってきた小さな子どもや若い女性に対して、仕切りの板をバンバンと叩き、脅かして楽しんでいるような姿が見られるようになりました。

 そして8月になると、夕方、自分の部屋に帰る途中の通路では母親のモモコから離れて歩いたり、他の部屋の入口の格子扉を揺らしたりするようになりました。母親モモコがフブキを置いていくそぶりを見せることもあるので、そんなときは飼育係が声をかけると、モモコは理解してくれたのでしょう、フブキを抱いて部屋に連れて帰ってくれました。

 しかし、小さな子どもらしい面もまだたくさんあります。とくに7~8月の暑い日中、運動場で元気いっぱい遊んでいるので夕方部屋へ帰るとウトウトし始め、17時近くには大の字になってすやすや寝ている姿がよく見られました。飼育係が声をかけてもぐっすり眠って起きないこともありました。

 どんどん成長していくフブキの成長をこれからもご覧いただきたいと思います。

〔多摩動物公園北園飼育展示係 井上邦雄〕

(2015年09月04日)


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