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チンパンジー「フブキ」と仲間たちの近況
 └─2014/07/25

 多摩動物公園で2014年2月に誕生したチンパンジーの赤ちゃん「フブキ」が放飼場デビューを果たしてから、早5か月が過ぎました。

 初めのころは母親の「モモコ」に抱かれてウトウトしていることが多かったフブキですが、最近では活発に動くようになり、モモコのもっている餌に飛びついて食べる姿も見られるようになりました。群れの仲間たちは可愛らしく動くフブキに首ったけのようです。

 フブキが群れ入りをした当初は、モモコが神経質になっていたこともあって、フブキと群れのメンバーとの関わりはあまり見られませんでした。しかし、モモコが徐々に落ち着いてきて群れのメンバーの行動に対して寛容になってきたことや、フブキが自分から積極的に動いて興味のあるものを触ろうとするようになったことで、少しずつ接触が見られるようになってきました。モモコとの毛づくろいの合間にフブキの体にそっと触れてみたり、フブキが伸ばしてきた手を優しく握ってみたり……そんなほのぼのとしたコミュニケーションの場面が生まれています。

 しかし、こんなにも控えめ(?)なメンバーたちを差し置いて、大胆な行動を見せる個体もいます。それは、フブキの姉の「ミカン」です。ミカンはモモコの腕の中から「よいしょ」とフブキを引っ張り出して、まるで母のように抱きしめ、モモコの代わりに子守りをするのです。もちろんチンパンジーの世界では上の子が下の子の面倒を見ることは珍しくありませんが、「あの勝ち気でわがままなミカンが、お姉ちゃんらしいことをしてる!」と感動せずにはいられませんでした。ミカンはモモコの出産に立ち会い、出産当日から現在までモモコやフブキと同じ寝室で過ごしています。寝室ではかなりフブキの世話を任されているので、モモコにとってミカンは群れのメンバーの誰よりも特別な存在なのでしょう。

 ミカン以外の個体がフブキを抱いた場面も観察されています。以前からモモコと親しくしていた「ナナ」です。フブキの成長に伴い、今後は娘のミカンだけでなく、ナナのような血縁のない個体もしばしばフブキの子守りをするようになるでしょう。群れの中でたくさんの仲間たちに見守られながら、健やかに育ってほしいと心から願っています。

写真上:モモコの「高い、高い」で笑うフブキ
写真中:放飼場で子守をするミカン
写真下:ミルの耳をくわえるフブキ

〔多摩動物公園北園飼育展示係 中島麻衣〕

(2014年07月25日)



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