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上野からやってきたツキノワグマ2頭のその後
 └─2015/08/29

 2015年4月20日に上野動物園から多摩動物公園にやってきたツキノワグマのオス「ソウ」とメス「タロコ」。その後のようすをお知らせします。

記事「ツキノワグマ「ソウ」と「タロコ」の来園」(2015年5月22日)
 ソウを運動場に出す際は、室内への扉を開けておき、自由に出入りできるようにしておきましたが、今では扉を閉めても無事に展示できるようになりました。

 問題はメスのタロコです。6月に入っても彼女の警戒心が弱まる気配がありません。そこで、まずは室内の部屋と部屋を自由に行き来させることにしました。タロコのいる部屋から通路に出る扉を開き、通路を介して入れる隣の部屋の扉も開放しました。

 日中に飼育係が見に行くと、警戒したタロコは壁に向かってジャンプを始めることもありましたが、夜間も部屋と部屋の移動ができるようにしておくと、室内なら落ち着いて行動できるようになってきたようです。そこで、休園日に運動場へ出してみることにしました。

 運動場に出した初日、飼育係がいると外に出て来ないので、しばらくクマ舎から離れ、数時間後に戻ってみました。すると運動場への出入口付近に置いたえさがなくなっていました。その次の休園日も運動場に出してみると、室内からちょっと出て来てはすぐに戻るという動きを30分くらい繰り返しました。

 その後、開園日もソウと交替で外に出すようにしたところ、当初は外に出すのに30分以上かかることもありましたが、7月10日頃になるとスムーズに入れ替えができるようになりました。

 その後、連日30度をこえる暑い日が続き、ソウと入れ替えで外に出たタロコは一目散にプールに入るようになりました。まだしばらく2頭を交替で運動場に出す予定です。運動場に出ている個体については掲示を確認してください。


左:擬木にブイをあてて利用するオス「ソウ」 右:「イス」によりかかってブイを持ち上げるメス「タロコ」

 さて、ツキノワグマの運動場には穴の開いたブイが置いてあります。この中にはペレットや殻つき落花生が入っています。この装置を、ソウもタロコも迷うことなく利用し、中味を出して食べています。

 きっとブイを転がして中味を出すだろうと予想していたのですが、ソウもタロコもブイを両前足で持ち上げ、中味を落として食べています。おそらく、上野動物園にいた頃は、吊された容器を振ってペレット等を出していたせいではないかと想像しています。

 ただし、ブイを持ち上げるしぐさには微妙な差があります。ソウはブイを壁や組まれている木などに押さえつけて使っているのですが、タロコは壁などにもたれながら、万歳をするようにブイを持ち上げて利用しています。ソウもタロコも少しずつ運動場にも慣れ、個性が現れ始めているようです。これからどんな仕草を見せてくれるのでしょう?

〔多摩動物公園南園飼育展示係 土屋泉〕

(2015年08月29日)


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