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カタマイマイの展示を始めました
 └─ 2023/12/15
 葛西臨海水族園を含む都立動物園・水族園では、環境省の協力要請を受け、2017年以降、希少な野生動物の危険分散や系統保存、普及啓発などを目的として、絶滅が危惧されている小笠原諸島固有の陸産貝類の生息域外保全に取り組んでいます(詳しくはこちら)。

 水族園では、本館2階の情報資料室でカタマイマイ属の展示をしています。以前は、アナカタマイマイの展示をしていましたが、2023年10月10日からカタマイマイの展示に変更しました。


情報資料室でカタマイマイ属の展示を開始

 カタマイマイをよく見てみると殻に黄色いタグが付いており、タグにはアルファベットや数字が書いてあります。これにより個体識別をしています。専門家の指導を受けながら、遺伝的多様性を考慮し繁殖を進めており、血統管理をおこなううえで個体識別が重要となります。


個体識別の黄色いタグがついたカタマイマイ

 野生のカタマイマイは、ヤシのなかまのオガサワラビロウなどが豊富に生育する湿度の高い森の地面に生息しています。水族園ではその環境を再現するために、自動霧吹き器や保温器具を設置し、常によりよい環境を保つよう調整をしています。カタマイマイのなかまは湿度の変化に敏感で、乾燥していると「エピフラム」という保護膜をつくり、動き回らないお休みの状態となります。


エピフラムをつくったアナカタマイマイ

 カタマイマイのなかまは、その名のとおり硬い殻をつくります。硬い殻を維持し、繁殖に向けて健康に飼育していくためにえさをくふうしています。えさには野菜や落葉などの植物質なものだけでなく、筋肉や卵形成に必要なたんぱく質、殻や卵形成に必要なカルシウムをバランスよく与えなければなりません。

 水族園では、植物質のえさとしてナスを使用しています。食べ残したえさの量がわかるように、ナスを厚さ3mmの輪切りにし、カタマイマイの殻の大きさにあわせて形を整えます。市販の爬虫類用のカルシウムと、たんぱく質を補うためにザリガニ用の配合餌料をすりつぶした特製の添加剤をナスにまぶして週に一度与えています。


摂餌のカタマイマイ

 今後は、展示しているケース内での繁殖をめざし、みなさまにカタマイマイの子どももお見せできるよう、引き続き飼育・管理していきたいと思います。

〔葛西臨海水族園飼育展示係 御子神幸〕

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(2023年12月15日)



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