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アオウミガメ──成長にはえさやりの工夫が肝心! その②
 └─ 2022/08/26
 「東京の海」エリアの「小笠原の海4」水槽では、小笠原諸島の母島で生まれた2頭のアオウミガメを展示しています。こちらの2頭のアオウミガメについては以前にも「アオウミガメ──成長にはえさやりの工夫が肝心!」でご紹介しました。

 今年の7月で孵化から1年が経ち、体重が約4kg、甲羅の縦の長さは約30cmになり、魚たちが泳ぐ大きな水槽で展示しています。

 アオウミガメは、1週間に1回、甲羅の縦の長さと体重を計測しています。水族園で以前飼育していたアオウミガメの成長速度を調べてみると、他園館の個体よりも速いことがわかりました。それを参考に、より適切な速度で成長させるため、与えるえさの量や種類、割合を見直すことにしました。

 アオウミガメは、孵化後1年ほどは主にクラゲやカニなどを食べる雑食性です。体重が4.5kgを超えたあたりから、徐々に海藻や海草、藻などを主に食べる草食性になります。水族園に来たばかりのときには動物性のえさを体重の10%分を与えていましたが、昨年の12月から植物性人工えさを与えるようにし、成長速度が速すぎないように与えるえさの分量を徐々に減らしました。そして、今年の7月からは、植物性人工えさの割合を体重の2%分まで増やし、新たに小松菜を与え始め、えさの量は体重の3%分を与えています。


アオウミガメのえさ:植物性人工えさ、イカ、アマエビ、キビナゴ

 また、水槽内の魚たちに取られないよう、準備したえさをすべて食べさせるためにカゴに入れて与えています。はじめのうちはウミガメたちを捕まえてカゴに入れていましたが、だんだんとカゴに入ったらえさがもらえることを覚え、今では自らカゴに入るようになりました。

 2頭のアオウミガメはそれぞれ食の好みに違いがあるようで、キビナゴや人工えさ、小松菜など苦手なものを残すことがありました。そこで苦手なえさを先に与えて、食べ終わってからほかのえさを与えるなど、順番も工夫しています。

自らカゴに入るアオウミガメ①
カゴの中で植物性人工えさを食べるアオウミガメ②

 水槽内のアオウミガメたちを観察していると、以前は浅いところを泳いだり、擬岩の上で休んだりしているようすがよく見られていましたが、8月に入り、水中の深いところまで潜る姿もよく見られるようになりました。現在も成長速度は安定しているので、えさの工夫の効果は出ているのではないでしょうか。

 ぜひ、葛西臨海水族園にお越しいただき、水槽内を力強く泳ぐようになった2頭をご覧ください。

アオウミガメの1年間の成長記録
水槽内で泳ぐアオウミガメ
(左:アオウミガメ①、右:アオウミガメ②)

〔葛西臨海水族園飼育展示係 森田夕貴〕

(2022年08月26日)



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