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JAMSTEC「ハガキにかこう海洋の夢」入賞者体験乗船レポート
 └─2015/08/21

 夏休み中の2015年8月8日から10日の3日間、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)主催の「ハガキにかこう海洋の夢コンテスト」に入賞した子どもたちの体験乗船がおこなわれました。筆者はJAMSTECと水族館との連携活動の一環として、そのお手伝いに行ってきました。この体験乗船は、JAMSTECのハイパードルフィンという無人探査機を使った深海調査の見学、実際の操縦体験、さらにはJAMSTECの研究者からもお話が聞けるという大盤振る舞いのイベントです。ハイパードルフィンについては過去の記事でも紹介しました。

・「アメケンの深海調査航海リポート、その壱


ハイパードルフィンの解説を受ける子どもたち

 今回のイベントは3日間連続の日帰りの体験乗船です。われわれ葛西臨海水族園職員のほかに、地元のいおワールドかごしま水族館や新江ノ島水族館のスタッフの方もお手伝いに来ていました。


熱水が湧き出る海底の穴

 さて、今回の調査場所は鹿児島湾です。鹿児島湾には水深200メートルの海底に熱水が湧き出る場所があることが過去の調査で知られています。今回はこの熱水が吹き出る場所を調査しました。


深海調査で見つかったエビ

 ハイパードルフィンが海底に辿り着くと、海底に海水の「揺らぎ」が観察されたり、泡が出ていたりする場所があり、周囲が白くなっていました。この揺らぎは熱いお湯が出てきている証拠で、高いところでは100℃を超える熱水が出ていました。また、熱水が出ているまわりに小さなエビが何匹も見つかり、スラープガンという水中掃除機のようなもので捕まえてみると、タギリカクレエビというエビに非常によく似ているエビでした。

 タギリカクレエビは体長2.5センチほどの小さなテナガエビのようなエビですが、サツマハオリムシ(いわゆるチューブワームの一種)が生息する場所でしか見つかっていません。しかし、今回の調査では、このエビが見つかったまわりにサツマハオリムシは見あたりませんでした。このエビが本当にタギリカクレエビなのか、現在、JAMSTECで調査中です。

 一方、乗船体験の子供たちはマニュピレーターというマジックハンドのような装置やハイパードルフィンを実際に操縦し、大興奮でした。子どもたちにとってはとても貴重な経験になったようです。これをきっかけに将来の深海博士が生まれるかもしれません。

 このコンテストが気になる方はJAMSTECのホームページを要チェックです。来年もコンテストが開かれるかもしれません。

国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)公式サイト

〔葛西臨海水族園飼育展示係 小味亮介〕

(2015年08月21日)


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