2012年5月29日に巣立った上野動物園のワライカワセミのひなについては以前のニュースでお知らせしました。今回はその続編です。
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「尾羽の短いワライカワセミ」(2012年06月08日)
1羽目のひなが巣立った後、親鳥はそのひなに餌を運びながら、盛んに巣の中を気にしているようでした。まだ、親鳥はひなに給餌をしているし、まさか2回目の繁殖は……と思っていましたが、6月3日にメスが巣にこもって出てこなくなり、翌日には巣の中に卵があることを確認しました。そして、その数日後から雌雄交代で巣箱に入るようになり、抱卵をしているようでした。
ワライカワセミの繁殖は年に複数回おこなわれることがあります。2度目の繁殖もうまくいくのかどうか、そのままようすを見ることにしました。2度目も親鳥は熱心で、7月4日にひなが孵化したことを確認し、それから約1か月後の8月8日には、2羽目も元気に巣立ちました。
2羽のひなたちは、9月20日から狩りの練習を始めました。飲み水の水面に浮かんだ羽や葉を餌に見たてて、水に飛び込み、くわえた物を地面や木の枝にたたきつけています。餌以外のもので狩りの練習をしているようです。
野生のワライカワセミは本来、生きた魚や昆虫などを捕食していますが、上野動物園では餌としてマウス、コオロギ、イナゴやモツゴなどの魚を与えています。ひなたちは、今はもう親鳥におねだりすることもなく自ら餌場に行き、食べることができるほどに立派になりました。
写真:水中のモツゴに狙いを定めるひな
〔上野動物園東園飼育展示係 佐々木麻衣〕
(2012年10月12日)