ニュース
マツムシの展示
 └─多摩  2011/03/25

 こちらのニュースでお伝えしたとおり、多摩動物公園昆虫園では2011年2月4日に2匹のマツムシが羽化し始め、3月18日には、成虫の数が何と300匹以上にもなりました。

 これほどの数の成虫を予備用として置いておくのはもったいないので、展示用の飼育箱(40×50×高さ60センチ)に173匹を入れてみました。

 箱の中には湿らせた赤土入りの鉢受けを置き、その上に長さ15センチの稲わらを針金でまとめたものを3束おいて、産卵場所としました。

 さらに餌として、小松菜の鉢植え(初夏にはクズやツユクサに代えます)、去年のクズの枯葉、ぺレット(マウス、ラット、ハムスター用の人工飼料)、ニンジンとリンゴの小片を入れて、準備完了です。

 ところが翌日見るとマツムシたちは、稲わらの裏や細い隙間に潜り込んだり、また、天井の蓋近くにかたまってしまったり、せっかくたくさんいるのに見えにくい状態になっていました。

 予備飼育箱には、産卵用の稲わらのほかに、ソルゴという牧草を試験的に入れあります。ソルゴは秋から乾燥させておいたので、白っぽい色になっています。この牧草の上なら薄茶色のマツムシが休む姿がよく見えます。そこで、長さ約30センチのソルゴを針金で束ね、稲わらと交換しました。

 なお、去年卵が産みつけられた稲わらを、気温の低い屋外と冷蔵庫で保存してあります。保存した稲わらは、今回羽化した個体を孵化させた稲わらよりも約5倍の量があるので、卵の数も今年の約3倍はあると予想されます。これに加え、今回羽化した成虫が1か月後に産卵すれば、かなりの数の卵が得られるはずです。

 ただし、4月になると気温が高くなるので、産卵された稲わらとソルゴの束は10℃に保った冷蔵庫にすべて移し、必要な数だけをバッタ温室に置いて加温させる予定です。この方法によって、マツムシを一年中展示することが可能になるかもしれません。

〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 三枝博幸〕

(2011年03月25日)



ページトップへ