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マツムシの成虫展示
 └─多摩  2010/05/21

 昨年(2009年)秋に多摩動物公園の「鳴く虫展」で展示したマツムシが、産卵用に置いた稲わらの束に多数の卵を産み残しました。卵の残った稲わらは野外に放置して越冬させ、年開けの正月には半数近くは孵化させたいと考え、気温20℃~30℃のバッタ温室に移しました。

 2月から孵化が始まり、約2週間で10~40匹が現れ、数は増減しながら、約1か月半のあいだ孵化が続きました。

 飼育に際しては、孵化した小さな幼虫が逃げ出さないように、細かい網を張った15×15×20センチメートルの小型容器を選びました。容器の下には赤玉土(小)を厚さ1センチメートルに敷きつめ、水を入れて湿らせました。孵化した1令幼虫の餌としては、ゾウ用の餌から譲ってもらった稲わらと葛(クズ)の枯葉を中心に、ペットボトルのキャップにラット・マウス・ハムスター用のペレットを3分の1ほど入れて与えるとともに、小さく切ったニンジンと小松菜を用意し、幼虫50匹を目安に飼育容器に入れて飼育し始めました。

 幼虫は、脱皮して育つごとに食欲も増えていきます。ただし、育てば育つほど困ることがあります。ペレットなどを交換する際、たくさんの幼虫がいっせいに跳ね、開けた蓋の隙間から外に出てしまうのです。捕まえようと追いかけっこをするしかなく……それでも4月下旬には続々と羽化してくれました。

 5月になって羽化個体が多くなってきたので、展示することになりました。日中は物陰に隠れてしまうことが予想されたので、見やすくするつもりで飼育容器1個に成虫35匹を入れましたが、まだ見づらいので、結局、その倍の数を入れることになりました。

 まだまだ予備の成虫と幼虫はいるのですが、ひきつづき、卵の残っているわらを温室内で加温し、孵化の試みをつづけています。

〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 三枝博幸〕

(2010年05月21日)



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