催し物
特設展示「鳥々色々」研究室紹介──4
 └─2010/01/22

 井の頭自然文化園の特設展示「鳥々色々」は、2010年2月28日まで。残すところ1か月余りとなりました。しかし、まだ4つの研究室の紹介が残っています。今回は、鴨嘴つばさの「鳥類形態学研究室」と、大留利和夫の「鳥類分類保全研究室」にスポットをあてます。

◎鳥類形態学研究室

 鳥の形態には興味深い点がたくさんありますが、「鳥類形態学研究室」では、くちばし、足、翼の3か所を取り上げています。標本やパネルをただお見せするだけでなく、手にとって実感できる展示を工夫しました。

 くちばしコーナーでは、鳥が何を食べるかによって異なるくちばしの特徴を実物大の模型でお見せするとともに、園内で死亡した鳥の頭骨標本を展示しています。さらに、鳥の人工育雛に使う「親鳥のくちばしを模したパペット」を集めました。鳥のひなが「すりこみ」によって飼育係を自分の親と勘違いしないよう、給餌の際に使います。タンチョウのパペットは、さわっていただくための展示です。手を入れて、給餌作業を想像してみてください。

 足のコーナーでは、本物の鳥の足から型をとって作った金属製の足にさわることができます。バードカービングの資料として使うものですが、獲物をつかむ足、泳ぐ足、水辺を歩く足、木につかまる足など、機能と形態の関係がおわかりいただけるはずです。種類は9つ。解説を参考にしながら、どの鳥の足なのか考えてみましょう。

 つばさコーナーには、特設展示「鳥々色々」で最大の展示物、タンチョウの翼を置きました。作りものの「つばさうちわ」なので、思うぞんぶん振ってみてください。タンチョウの羽ばたきの力強さを実感できます。一方、体重が十数グラムしかないシジュウカラのうちわでは、ほとんど風がおきません。じつは、本当の最大の展示物は、天井から吊りさげられている鳥凧です。タンチョウ、ハクトウワシ、カラス、シマフクロウの4体を、新潟鳥凧同好会からお借りしました。こちらも見ごたえがあります。

◎鳥類分類保全研究室

 「鳥類分類保全学研究室」は研究所の最奥にあり、わずかなスペースしか与えられていませんが、最新の研究成果を発表しています。

 研究室の調査対象地域は井の頭自然文化園の本園エリアです。日々、観察した鳥の種類と観察場所を地図に記入しています。といっても、デスクももたない研究者の大留利和夫は別のテーマで出張していることが多く、実際のデータ収集は、ガードマンB氏の観察に多くを頼っています。

 B氏は研究室から委託され、多数の野鳥の写真を特設展のために提供しているバードウォッチャーです。来園者の安全を守るために園内を巡回する際、同時に、来園者の背後に飛びかう鳥たちの姿を目にしているので、だれよりも長く調査にたずさわっているのです。

 研究成果は、2010年2月13日(土)と21日(日)に開催するイベント「親子でじっくり鳥観察」にも活かされます。「親子でじっくり鳥観察」への参加は、2月6日(消印有効)までに往復はがきでお申し込みください(申込方法など、くわしくはこちらのお知らせをごらんください)。

◎特設展示「鳥々色々」は2010年2月28日まで。
 くわしくはこちら

◎「鳥々色々」研究室紹介
  1 ヒトと鳥の関係学研究室
  2 鳥類音声学研究室
  3 鳥類色彩学研究所

◎写真上から:
 ・鳥類分類保全研究室
 ・コウノトリのパペット
 ・本物の足から型をとった金属製の鳥の足
 ・タンチョウの「つばさうちわ」
 ・鳥類分類保全研究室

〔井の頭自然文化園動物解説員 馬島洋〕

(2010年01月22日)



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