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昆虫園のホウオウボク
 └─ 2026/02/27
 多摩動物公園の昆虫生態園大温室に入った来園者は、まず目の前で舞い飛ぶチョウに魅了されるようです。そのせいか、またあまりの大きさに景色の一つと化してしまうためか、なかなか注目されないのですが、大温室の中央にはたいへん大きな木がそびえています。


ホウオウボク

 これはホウオウボクという名のマダガスカル原産のマメ科の高木で、沖縄では公園に植えられたり、街路樹として活用されたりしています。温室内に植樹されてまもなく40年になる、まさにシンボルツリーで、この木を目当てに大温室に来てくださる熱心なファンの方もいます。

 ホウオウボクは毎年8月ごろになると真っ赤な花を咲かせます。葉の緑と花の赤のコントラストがとても美しく、見応えがあります。


ホウオウボクの花

 とはいえ、年によって花の咲く量に変動があり、2024年の夏は開花したものの花の数がとても少なく、木が弱ってしまったのではないかと心配しました。そこで水やりの頻度や量を増やしたところ、効果が表れたのか、2025年は前年よりもずっと多くの花が咲き、8月下旬ごろに最盛期を迎えました。チョウはその蜜を吸い、体に花粉を体表にたっぷりつけて飛び回っていました。


花粉を付けたツマムラサキマダラ

 花粉は赤い色をしているので、すぐにわかります。これらの花粉まみれのチョウによって受粉がおこなわれ、秋をすぎたころにマメ科の植物らしい「さや」がいくつも実りました。「さや」は初め綺麗な緑色をしていましたが、年明けごろからだんだんと茶色くなってきました。

 この茶色く硬くなった「さや」は、振るとカチャカチャ音がします。現地のマダガスカルではこれを楽器として使うことがあるそうです。手元にある「さや」を振ってみたところ、確かにマラカスのようによい音がしました。

青いさや
茶色いさや

 さて、そんなホウオウボクですが、ガラスの天井で覆われた大温室内に植えてあるため、毎年の剪定が必要となります。昆虫園では2月に専門の職人により適切な剪定をおこなっています。大温室の天井までの高さが16mあり、ホウオウボクはその天井まで届きそうなので、おそらく樹高は15mくらいあります。その木に職人さんたちがロープを頼りにスイスイと登って枝を綺麗に落としてくれるのを見るのはとても爽快感があります。この記事が掲載されるころには剪定が終わっているので、すっきりとしたホウオウボクをご覧いただけるはずです。

 夕方になり日が陰ると、多くのチョウがホウオウボクの梢で休みます。薄暗い雨の日なども同様です。大温室内で飛んでいるチョウが少ないな、と思ったら、ホウオウボクの梢も観察してみてください。きっとたくさんのチョウが隠れているはずです。


ホウオウボクの葉先で休むオオゴマダラ

〔多摩動物公園昆虫園飼育展示係 片田〕

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