多摩動物公園のスイギュウファミリーは、父親の「幸吉」(こうきち)(7歳)と、母親の「まる」(12歳)、その子どもの「さち」(1歳)の3頭です。さちは昨年2024年7月18日生まれのメスで、無事に1歳を迎え、スクスクと成長しています。
その成長スピードはとても早く、父親の幸吉が3歳で多摩動物公園に来園した時の体重が152kgだったのに対し、1歳のさちの体重はすでに285kgに達しています。

左:幸吉(父親)、右手前:まる(母親)、右奥:さち(子)
2025年の9月、幸吉とまるを育てた由布島の方が2名来園された際、さちを見て「大きいな」と驚かれていました。母親のまるが大柄な家系で、まるのお兄さんは由布島で一番大きなオスなのだそうです。さちもその家系の遺伝子を受け継いでいるため、大きいのでしょうとのことでした。
しかし、母親のまるほど大きくなるかはわからないとのことでした。というのも、由布島ではメスと去勢されたオスは人を乗せた1トン以上の重さの牛車を引くのですが、それによって骨が太く強くなり、筋肉も付いて、かなり大きく成長するそうです。
まるは多摩動物公園に来るまでは牛車を引いていたため、もともと大きい体が更に大きく成長しました。さちはそうした機会がないため、ある程度で成長は止まると思われます。父親の幸吉も種オスで牛車を引いていなかったため体は大きくありません。しかし、オスは10歳を超えても成長を続けるので、現在7歳の幸吉がどこまで体が大きくなるのか楽しみです。
通常、由布島では曳牛をするために、生後6ヶ月頃、動かないように押さえて首紐と鼻紐を付けますが、さちは1歳で首紐と鼻紐を付けました。動かないように押さえるにはかなり大きく成長していたため、危険と判断し、麻酔下で装着しました。今後は成長に合わせて、鼻紐の太さを太いものに交換していき、ゆくゆくは曳牛ができたらと考えています。

白い紐が首紐、オレンジ色の紐が鼻紐
鼻紐の装着時は母親のまると離さなければなりません。母親の姿が見えなくなると、さちはとても大きな声で鳴いていました。その声は、父親の幸吉にとても似ています。
幸吉は種オスなので、メスや去勢されたオスとは違い、成長とともに声が低くならず、甲高く、ねっとりとした声で鳴きます。さちはまだ1歳と幼いため幸吉そっくりに鳴きます。ときどき、幸吉と鳴きかわし、まるがたまに割り込むように鳴いています。
さちの鳴き声は成長とともに母親のまるのように低く変化するかもしれません。これからもさちの成長が楽しみです。ぜひ、スイギュウファミリーを多摩動物公園に見に来てください。
スイギュウのさちの鳴き声
〔多摩動物公園南園飼育展示係 下重〕
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