2024年9月に、多摩動物公園と
沖縄こどもの国とのあいだで飼育しているクロツラヘラサギを1羽ずつ交換しました。

沖縄こどもの国へ移動した個体
多摩動物公園では1989年からクロツラヘラサギの飼育を開始し、1996年に世界で初めて動物園での繁殖に成功し、その後も繁殖を重ね現在は69羽を飼育しています。育った個体はほかの施設へ移動するなど、国内外の施設と協力して域外保全をおこなってきました。しかし、飼育下のスペースで限られた血統の個体が繁殖しており、近親交配の心配が出てきました。
今回来園した個体(性別不明)は、野外で保護され、保護施設を経て
沖縄こどもの国で飼育されていました。野生で生まれ育っているため、これまでの飼育下の個体とは近縁関係がないと考えられます。多摩動物公園で飼育する個体との繁殖に取り組み、新たな血統として子孫を残すことを目的として沖縄こどもの国の協力を得て来園しました。なお、沖縄こどもの国へは、多摩動物公園生まれのオスを1羽移動しています。

沖縄から到着直後のクロツラヘラサギ
多摩動物公園では、2024年6月にも野外で保護されたクロツラヘラサギを受け入れており、今回来園した個体以外にも2羽の保護個体が飼育されています。(
クロツラヘラサギを台北に送り出すまで──「タイペイ」の来園と繁殖、
野外で保護されたクロツラヘラサギの来園)これらの個体は環境に慣れたあとに、園内の繁殖棟でペアを作り、繁殖を目指します。
クロツラヘラサギは日本への飛来数が増加傾向にあり、今まで目撃されたことがなかった場所に渡ってきたり、残念ながらけがをして保護されたり、それを報じるニュースで注目されることが増えてきました。今後も、園内で飼育繁殖に取り組むだけでなく、クロツラヘラサギの生態や最新の生息状況についても発信していきます。
〔野生生物保全センター保全係 石井〕
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