多摩動物公園で2021年1月12日、チーターが生まれました(
お知らせ)。母親は「デュラ」。デュラは2018年に出産し、今回が2度目の出産です。
2018年の繁殖:デュラとナガト
2020年末時点でチーターは国内14の動物園やサファリパークで飼育されており、個体数はおよそ100頭前後で推移しています。
チーターは国際的に血統が管理されている動物です。繁殖計画を進めるときは年齢や繁殖歴、遺伝的多様性など、さまざまな観点から雌雄の組み合わせを検討します。そのため、1つの施設の個体だけではすぐに血統上の限界がきてしまうため、他の飼育施設との協力が欠かせません。
今回出産したデュラは2012年に群馬サファリパークで生まれ、2014年にブリーディングローン(繁殖目的の動物の貸借契約)にもどついて多摩動物公園に来園し、その後2018年に出産しました(
お知らせ)。父親は「ナガト」でした。
2020年、2度目の繁殖に向けて:デュラとキト
血統管理上、2度目は別のオスとの繁殖を目指して2020年6月、富士サファリパークからオスの「キト」をブリーディングローンによって借り受けました(
お知らせ)。キトは来園当初は戸惑ったようすでしたが、数日で環境に慣れてきました。
7月にデュラの発情が来たためキトとの同居を試みたところ、繁殖歴のあるデュラがキトをうまく誘導し、無事交尾にしました。残念ながら妊娠にはいたりませんでしたが、相性は悪くないことがわかり、次回以降に期待がもてるものでした。
10月に再び発情が見られたため、同居させたところ交尾が確認されました。チーターの妊娠期間は約95日ですが、目視での妊娠判断は難しく、出産10日前ほどまでわからないこともあります。デュラは2021年1月になると腹部の膨らみが目立ち始めたので、出産のために寝室の準備を少しずつ進めました。
出産とその後
そして2021年1月12日、無事に出産にいたりました。記録した映像を確認すると、19時半頃から1頭目を出産し、約3時間かけて6頭を出産しました。残念ながら2頭は死産でしたが、デュラは4頭(オス2頭、メス2頭)の子どもたちを落ち着いて舐めたりしながら世話をし、授乳している姿も確認できました。
翌日以降のデュラは飼育係に対して警戒する行動もしっかりと見せるとともに、子どもたちを甲斐甲斐しく面倒を見る姿が確認され、頼もしいかぎりでした。

生後1か月頃
その後、メスの1頭が残念ながら死亡してしまいましたが、3頭の子どもたちは3月半ばからガラス放飼場に出すようになりました。放飼場内を元気よく駆け回って遊ぶ姿が見られます。また、最近では子どもの成長とともにデュラも一緒になって遊ぶなど、親子でなかよく過ごしています。

生後3か月頃
多摩動物公園は当面の間、臨時休園を続けています。再開園し、デュラの子どもたちに会えるようになるまで、今しばらくお待ちください。
〔多摩動物公園飼育展示課 佐々木〕
(2021年04月17日)