井の頭自然文化園では、先日の「
リスの小径は子リスの小径!」でお知らせしたとおり、今年もリスの小径などで、多数の仔リスが生まれ育ち、現在もまだ繁殖が続いています。
当園のニホンリス飼育施設では、リスたちのために木製の巣箱を設置していて、この中が寝室になり、また繁殖期には産室にもなります。リスたちは自分たちで巣材を集め入れ、快適な巣内環境をつくり上げます。
これに対して、野生のニホンリスは樹上に巣材を運び、球状の巣をつくります。

野生でのニホンリスの巣
(長野県茅野市運動公園にて、2014年撮影)
さて、今年は6月中旬頃から小径内の木の上に巣材を運び、巣づくりを始めるリスたちが見られるようになりました。準備された巣箱では満足できなくなり、さらに快適な環境を求めるようになったのか、または野生の本能が目覚めたのか、現在小径内で4ヵ所の樹上の巣が見られます。
リスの小径は、自然に近い巣づくりの行動を呼び起こすような環境になっていると考えられます。
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リスの小径内の木の上の巣 | 上から見たところ |
先日の休園日に、個体のチェックを兼ねてリスたちのお宅拝見!
野生環境のように球状にはなっていませんが、中は草や木の皮を裂いてやわらかくしたものになっていて、外側は枝葉を集めてありました。複数のリスたちが中にいる巣もありました。
木製の巣箱より風通しがよくて、今の季節には快適そうです。しばらくはここで過ごすのでしょうか。
せっかくつくり上げた巣材をほかのリスたちに奪われたり、使われなくなって巣が壊れると、巣のあった木の根元などに巣材がたくさん落ちていることがあります。
飼育担当者としては掃除の手間が増えますが、リスたちには快適に過ごしてもらいたいものです。
リスの小径の中の観覧通路からは、巣の遠景しか見えませんが、野生でニホンリスがつくる巣に近いものがご覧になれますので、巣の形をしている間にぜひ見に来てください。
〔井の頭自然文化園飼育展示係 井上智右〕
(2017年06月28日)