上野動物園の西園ズーポケット(動物園ホール隣)で2007年6月1日から始まった特別展「不思議な鳥──ハシビロコウの世界展」、もうごらんになりましたか!? この特別展を企画したきっかけは、在日ウガンダ大使館のワスワ・ビリグワ大使の来園です。園長の小宮輝之と面会された大使は、ウガンダに生息するハシビロコウが人口の増加や環境破壊などにより減少しているため、ハシビロコウの生息環境を守るための取り組みをしていきたいと話されました。そこで、現在5羽のハシビロコウを飼育展示している上野動物園でも、大使の訴えに賛同し、協力することにしたのです。
じつはハシビロコウは、数年前にひそかなブームがありました。じっと動かない不思議なすがた、なんだかコワいけど愛嬌のある顔が人気となって、「キモカワイイ」と注目を浴びたのです。しかし、ハシビロコウたちが野生ではどのような自然環境に生息し、どのような暮らしをしているのか、その不思議な生態などは、ほとんど触れられていませんでした。
この機会に、あらためてハシビロコウの生態や魅力をご紹介し、当園のハシビロコウもじっくり見ていただきながら、かれらの生息地であるアフリカの自然や現状を知っていただこうと特別展を企画しました。ウガンダ大使館からご提供いただいた資料をはじめ、現地在住の日本人の方が撮影した野生のハシビロコウの貴重な写真も展示しています。湿原にたたずむ野生のハシビロコウの優美なすがたは必見です!
さて、今回の展示では、ビリグワ大使からのメッセージとともに、会場の一角で「ハシビロコウ救援基金」へのご協力を呼びかけています。ハシビロコウのぬいぐるみや、ウガンダで信仰されている精霊たちをモチーフにしたマスコットを販売し、売上の一部を「ハシビロコウ救援基金」に役立てる予定です。
特設展2日目の2007年6月2日(土)午後、ビリグワ大使が来園され、小宮園長とともに展示会場を訪れました。テレビや新聞社の取材を受けながら、大使と園長はそろって展示会場をめぐり、記者たちにハシビロコウ保護への思いを熱心に語っていました。大使はとても気さくな方で、みずからハシビロコウのぬいぐるみやマスコットを嬉しそうに購入し、ハシビロコウ舎の前では、なつかしい母国の友人に出会ったかのようにハシビロコウに話しかけていました。
特別展が始まって約10日が過ぎましたが、一般の方、ハシビロコウファンやサポーターの方々からの反響もいただき、展示はなかなか好評のようです。会期は6月30日(土)までです。多くの方に足をお運びいただき、ハシビロコウのくらしとその故郷に思いを馳せていただけたらと願っています。
〔上野動物園教育普及係 杉本啓子〕
(2007年6月10日)
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