名前のとおり、頭のハゲたトキの一種、「ハゲトキ」。2003年11月1日(土)、西園の水禽舎に登場しました。水禽舎は、オランウータンのモリーのとなりから、出口の弁天門にむかってならんでいます。
ここにいるトキ科の鳥は、ムギワラトキ、マダガスカルトキ、ホオアカトキ、ショウジョウトキ、シロトキなど。ハゲトキがいるのは、出口にいちばんちかいケージです。そのケージには、いっしょにシロトキ、ショウジョウトキ、カンムリサケビドリが入っています。
来園したのは4羽で、1ペアが1999年生まれ、もう1ペアが2002年生まれ。それぞれ左脚にリングがつけられていて、1999年生まれは「赤=オス」と「青=メス」、2002年生まれは「黄=オス」と「緑=メス」です。
頭のようすは、右の写真をごらんください。まさしく頭に羽毛がないんです! 色はピンクから赤っぽい色。成長の頭の方が、ゆであがったような、はっきりした赤色をしていて、顔も一様に白色です。
一方、去年生まれたばかりの個体は、頭がピンク色で、顔面の白色との境目もはっきりしていません。特徴的なのは、「大五郎」(古い?)みたいな「額」の羽毛(写真下)。成長すると、額はツルっといっちゃうみたいです。
体は全体が暗緑色。メタリックな輝きを放っています。
ケージの奥の上方には木製の巣を設置してあります。巣を成長ペアが占拠していることも多いようですが、4頭をじっくり観察してみてください。頭の色、額の羽毛、羽の金属光沢など、それぞれが特徴的。若いメス(脚のリングは緑色)の後頭部は、ほかの3羽とちがって、あまり露出していませんが、これが年齢とともに変化するのかどうかはよくわかりません。
えさは、トキ用のペレットや、「トキえさ」。トキえさは、スイスのバーゼル動物園 http://www.zoobasel.ch/ が開発したもので、これに馬肉、ニンジン、ゆで卵、栄養剤などをくわえ、日本式にアレンジして使っています。キャベツなどの野菜もあたえています。
4羽は南アフリカ共和国のプレトリア動物園からやってきました。上野動物園のタンチョウ2羽との相互寄贈です。プレトリア動物園ではハゲトキを多数飼育しており、来園した4羽は近親交配の心配もないようです。また、人間に育てられたため、けっこう人なつっこいとか。
現在、ハゲトキは南アフリカ共和国の東部にしか生息していません。
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分布地図
ハゲトキは、牧草地や丈の低い乾燥した草原を好むのですが、焼き畑直後の土地を見つけては「焼きあがった」昆虫を食べたり、雨季の後、その焼き畑に戻ってきて、ふたたび出現する昆虫を捕食したりするそうです。こうして古来よりハゲトキの生活は、焼き畑農業や、防火帯づくりのための焼き払い地と関係をもっていました。
しかし、ハゲトキの数は少なくなりつつあります。食用にするための狩りや、営巣に適した場所がなくなっていることも、至近的な原因としてはたらいてきたようです。 しかし、20世紀をつうじて長い目でみると、牧草地として利用しすぎた土地が乾燥地に変化してしまったこと、また、一部地域では針葉樹の植林が進んだことなどがマイナス要因となりました。
ハゲトキちかくのケージには、同じ属のホオアカトキもいます。ホオアカトキは、さらにパンクな容貌です。ぜひ、くらべてみてください。
・「The Internet Bird Collection」より
ハゲトキの動画6種類。営巣地、飛翔、ひなのすがたなどが映っています。
・写真上──メス成鳥
・写真下──オス若鳥