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ゴリラの近況──上野 11/22
 今年の3月12日、ゴリラのショウ(オス、25才)が浜松市動物園から来園しました。オスのビジュなきあと、繁殖のために、若くて有望な個体としてやって来たのです。ショウのしぐさやふとした表情は、ブルブルに似ているところがあります。ブルブルの元気なときは、いまのショウみたいだったのでしょう。

 ショウが知っているメスは、浜松でいっしょにいたメス個体だけ。上野のメスとは初対面でした。そこでまず、おとなしいローラとの同居をこころみました。5月27日のことです。ローラはだれに会わせても尻ごみをして、相手がオスだと逃げ出してしまうくらいおとなしい個体です。結局、ローラがショウに近づくことはなく、離れてくらす状態が続きました。

 7月15日、ショウとローラのいるところへ、メスのトトを加えました。トトは前のビジュともいい関係だったので、ショウとなんとか関係をむすぶことができるのではないかと予想していました。

 同居の当日は、おたがい警戒しあって、遠まきにして様子見の状態でしたが、メス2頭に対して、ショウはドラミングや小走りして、自分を誇示していました。ローラは逃げて距離をおこうとするだけ。トトは逃げずにじっと見ています。

 8月末の3日間、トトの発情にあわせて交尾体勢が見られました。ショウがトトの発情サインに気がついたのです。

 ショウは3種類の体勢をこころみ、ただしい位置をさがすのに苦労していました。トトの発情が消えてしまうと追いかけなくなり、トトもショウに自分から接近することはなくなりました。

 以後、9、10、11月に、トトの発情があわせて交尾行動が見られましたが、受胎は確認できません。受胎がないから、発情期がめぐってくるのです。

 さて、10、11月は園内の木の実、とくにシイの実が落ちる季節。それをまめに拾って集め、洗って干します。バケツ2杯くらいは集まるでしょうか。そのシイの実を第1放飼場のグロット(洞穴)のわらの中にまいて隠します。こうすると、ゴリラ3頭(ムサシ、リラコ、ピーコ)は、終日ワラを押しのけながら探し、つまんで食べています。いい時間つぶしです。第2放飼場では、芝の中や擬木のすきまに隠しているので、ショウ、ローラ、トトが見つけて食べています。

 これから寒さが厳しくなるので、グロットの中にわらをたくさん入れて暖をとらせるようにしています。また、かぜをひかないよう、はやめに部屋にもどすこともありますので、どうぞご了承ください。

〔上野動物園飼育係 今西亮〕



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