9月に入り朝晩は少しずつ過ごしやすくなってきましたが、まだまだ暑い日が続いています。本当に2012年の猛暑は、日本がまるで熱帯になってしまったかと思うほどでした。
この暑さは動物たちにとっても大変つらいものがあり、井の頭自然文化園のハクビシンやアライグマなどは、少しでも放熱できるよう、日中は四肢をぐた〜っと伸ばした「ダレた」状態で休息し、同じく暑さにあえぐ来園者に、それはそれで人気がありました。
さて、一般に「夏のもの」というイメージがあるヘビですが、じつは暑さには強くありません。体温を外気温に依存する外温性の動物であるため、水に浸かったり、日陰に隠れたりして体温が過度に上昇するのを防がねばなりません。
当園では現在、屋外2か所、屋内1か所でアオダイショウを展示しています。屋内の資料館で展示している子ヘビはいいとして、屋外の2か所は日照の関係で午後にはかなり高温となってしまうため、その影響なのか、それまで旺盛な食欲を示していた園内捕獲個体のペアが、ぴたりと採食しなくなってしまいました。
冬の寒さは目張りをしてヒーターを点灯すればよいのですが、夏の暑さ対策にエアコンを設置するわけにもいかず、対応に頭を悩ませていました。そこで登場したのが「スネーククーラー」です。といっても職員が摂取し終わったペットボトルに水を詰め、調理場の冷凍庫で凍らせただけの物です。午後、これをヘビのケージに置いてみたところ、体を触れんばかりに接近して涼を取るところが観察されました。さらに気温が35℃を超える日には、ペットボトルに直接体を巻きつけて、体温を下げようとする姿も認められました。
ヘビは氷などの冷たいものを嫌って避ける習性があると思っていたのですが、今年の夏の暑さはヘビたちに習性も忘れさせるほど厳しいものだったのでしょう。担当者も驚きつつ、早く過ごしやすい季節になって、食欲も回復して欲しいと願っています。
写真:「スネーククーラー」に巻きついて涼を取るアオダイショウ
〔井の頭自然文化園飼育展示係 山本藤生〕
(2012年09月21日)
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