葛西臨海水族園「渚の生物」水槽の岩場には潮だまりがあります。潮だまりとは、潮が引いたときに岩のくぼみなどに海水が取り残される場所で、その中や周辺では、多くの生き物を見つけることができます。しかし、潮だまりの周辺は潮が引いたときには水の外に出てしまい、からだが乾いてしまう危険があります。また、潮だまりの中には大きな魚などの捕食者は入ってきませんが、水の外から鳥などが餌となる生き物を探しています。このような場所で、いったいどんな生き物がくらしているのでしょうか。
まず、岩の上のほうにはびっしりとウメボシイソギンチャクがくっついています。潮が引くと、次に潮が満ちてくるまでの間、乾かないように体を縮め、潮が満ちると触手を開いて餌を捕まえます。
マツバガイやヒザラガイは、岩のくぼみやすきまに沿ってピッタリと張りつくことで、干上がった場所でも乾燥から身を守ることができます。
水の外からの敵に対して、姿をうまく隠している生き物もいます。潮だまりの中で歩きまわるホンヤドカリは、動く物かげを感じるとからだを殻にひっこめて、コロコロッと深みに転がっていきます。
また、クモヒトデのなかまは、昼間は物陰に隠れて過ごし、夜になると餌を探すために姿を現します。石のすきまをよく見ると、ニホンクモヒトデの腕がはみ出していることがあります。
このほかにも潮だまりには、まだまだいろいろな生き物を見ることができます。
「渚の生物」水槽では、特設展「体験!海辺の生きもの」を2012年5月8日(火)まで開催しています。春休みとゴールデンウィーク期間中は、スタッフが生き物の探し方など、いろいろな磯遊びを紹介していますので、一緒に生き物を探してみましょう。
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「しおだまり水槽リニューアルオープン」のお知らせ
写真上:ウメボシイソギンチャクが開いたところ
写真中:ウメボシイソギンチャクが閉じたところ
写真下:「しおだまり」ガイド
〔葛西臨海水族園飼育展示係 三浦絵美〕
(2012年03月30日)