動物園の展示方法にはたくさんの種類があります。見た目が似ている動物を集めた「形態学的展示」や同じ生息地の動物を集めた「地理学別展示」などさまざまで、それぞれの動物園で動物の特徴や園の条件に合わせた展示方法をとっています。
上野動物園バードハウス2階のガラスケージでも、展示の鳥の入れ替えをした際、生息域の近い鳥を中心に1つのケージに展示し「地理学的展示」をおこなっています。
ガラスケージは全部で6か所あります。「アフリカ」が2か所、「オセアニア」「東南アジア」「日本」「南米」がそれぞれ1か所ずつです。今回は中でもお勧めのケージを2か所ご紹介します。
まずは「東南アジアの鳥」。このケージにはオオルリ、サトウチョウ、カンムリシャコがいます。オオルリは「日本の鳥」としてもおなじみですが、日本で繁殖をしたのち、夏の終わりに東南アジアへ渡って行き冬を越します。そして春になると繁殖のために日本へ渡ってくるので「日本の鳥」でもあり、「東南アジアの鳥」ともいえるでしょう。
次に東南アジアのケージの隣の「オセアニアの鳥」。ここではオセアニアに生息する小鳥を中心に展示しています。小さな体で大好物の種子を食べたり、水浴びしたり、頻繁に動くようすをごらんになれると思います。そして今、彼らは春の繁殖に向けて巣作りに励んでいます。運が良ければ巣材を運んでいるところも見られるかもしれません。
バードハウスで鳥たちと小さな世界旅行をしてみませんか?
写真上:「東南アジアの鳥」オオルリのオス
写真下:「オセアニアの鳥」カノコスズメ
〔上野動物園東園飼育展示係 石井淳子〕
(2012年02月24日)
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