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アカエイと遭遇しないために
 └─葛西  2011/08/12

 アカエイにはトゲがあり、刺されると危険です。以前生物採集へ行ったとき、葛西臨海水族園の職員がアカエイに刺されました。百戦錬磨のその職員は、その後もふだんと変わらないようすで作業していました。「痛くないのですか?」と聞くと、「それほど深く刺さらなかったから大丈夫だけど痛いよ」という答えです。幸い大事には至りませんでした。そのときの写真を見ると、小さいですがたしかにアカエイがぶら下がっていて、トゲがブーツを貫通して外れなくなっています。こんなに小さいアカエイでも立派なトゲをもっているということです。

 アカエイは砂浜に近い浅い海にもよく来ます。ただし海底でじっとしていたり、砂に潜って隠れていたりすることも多く、水が少し濁っていると、まず見つけることができません。

 アカエイには不意に刺されることがほとんどのようです。海に入り、歩いていたら知らずにエイを踏み付けてしまい、驚いたエイがトゲを立てて自己防衛で刺した、といったところでしょうか。足または足首周辺を刺されることが多いのはその証拠かもしれません。

 アカエイのトゲはギザギザの鋸歯状になっていて、刺さるとなかなか抜けないようにできています。さらにトゲには毒もあって、人によってはアレルギー反応を起こして死に至ることもあります。刺されてしまったら先ず助けを呼びましょう。できれば毒を絞り出して傷口を水(あればなるべく暖かいお湯)で洗い流し、早急に医療機関で治療を受けましょう。

 アカエイに刺されないようにするには、海の中を歩くとき、砂をかき混ぜるようにすり足でバシャバシャと音を立てると、エイは人間が近づいてくるのに気づいて逃げていきます。この歩き方を英語ではStingray Shuffleと呼んでいます(Stingray=トゲをもつエイ、Shuffle=すり足)。うまくいけば、エイも踏まれず、人間も刺されず、どちらも傷つかずに済みます。

 水族園の特別展「タッチンフィーリン」ではアカエイを展示していますが、これらのアカエイはトゲを取り除いてあり、人にも慣れているので安心して触ることができます。

 でも、海にいるアカエイはトゲがあり触ると非常に危険です。海では決して触らないように、そして刺されないように注意しましょう。

〔葛西臨海水族園調査係 河原直明〕

(2011年08月12日)



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