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シフゾウのマック、そろそろ隠居?
 └─多摩  2010/05/14

 多摩動物公園では2頭のオスと5頭のメス、合わせて7頭のシフゾウを飼育しています。オスどうしは発情すると争いが起こるので分けて飼うようにしており、現在、大きい運動場ではマック(オス17歳)とメス5頭の群れ、小さい運動場ではアオバ(オス3歳)のみを飼っています。

 マックは昨年(2009年)の夏、群れの数頭のメスと交尾をしました。これまで5頭の子どもを作った実績のあるオスなので、今年の春は子が生まれるのではないかと期待していましたが、想定される妊娠期間がすぎても、残念ながら出産は見られませんでした。2008年も子は生まれなかったので、これで2年連続して期待が叶わなかったことになってしまいました。

 じつのところマックは、2年前くらいから奥歯が悪くなっていて、硬い乾草がうまく食べられなくなっていました。大型草食獣では奥歯が磨耗して乾草等が食べられなくなることがまれに見られます。最近ではやわらかい青草や、噛まずに食べられるペレットなどを多めに与えるようにしているのですが、以前に比べてずいぶん痩せてしまいました。

 また、シフゾウの角は毎年12月の終わりから1月初旬にかけて落角し、新しい角が生えてくるのですが、マックは栄養状態が悪いせいなのか、昨年は小さい角しか生えてこなかったうえ、2010年5月10日現在も落角せず、昨年の角がついたままです。

 シフゾウの寿命は長ければ20歳以上といわれているので、マックもまだまだ現役でいけるとも思います。ですが、シフゾウは日本では多摩を含めて3園だけでしか飼育されておらず、その半数近くが多摩にいて、繁殖を期待されている現状から考えると、群れのオスを若いアオバに代えるよい機会なのかもしれません。

 10年前のマックは気性が荒々しく、飼育担当者も何度も危ない目に会うことがあるほどでしたが、今では朝、獣舎に行くと檻の隙間から鼻を出してきて、顔をさすってくれと言ってきます(さすってやるとうっとりしています)。

 今年の夏の繁殖期までには、アオバと交替させマックには隠居を勧めようと思っています。

写真上:マック
写真下:アオバ

〔多摩動物公園南園飼育展示係 八坂圭吾〕

(2010年05月14日)



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