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上野のコモドオオトカゲ、シンガポールで孵化!
 └─上野  2009/12/04

 上野動物園は2008年4月、繁殖のためにコモドオオトカゲのメス「ヨーコ」をシンガポール動物園に貸し出しました。そのヨーコが交尾し、今年(2009年)の1月に19個の卵を産んだことは、下記のニュースでお知らせしました。

・「シンガポールへ出発」「交尾」「産卵」のニュース

 産卵状況や卵の状態などについて、シンガポール動物からたびたび報告を受けていましたが、大部分の卵の発生状況はかんばしくなく、繁殖が成功するまでまだまだ時間がかかるかもしれないと思っていました。

 ところが、2009年11月14日、ひとつの卵(産卵は4月)が無事孵化したという驚きの知らせがありました。そして、Eメールに添付されていた写真には、まさに孵化したばかりの幼体が、卵の殻のそばで休んでいるようすが写っていたのです。卵殻の大きさから判断すると、全長は40センチ前後(半分は尾の長さ)でしょう。

 オオトカゲのなかまは、幼体の方が成体よりも派手な色や模様をしているのが一般的です。コモドオオトカゲの幼体も、頭部以外の全身に黄色い水玉模様があり、親とはまったくちがう色合いをしています。顔つきも、毎日見ていた「ヨーコ」を思い出すと、ずいぶんあどけない感じで、本当にこれがコモドオオトカゲなのかと疑ってしまうほどです。

 野生のコモドオオトカゲは、幼体のときは樹上でくらすのですが、これは地上にいる親のコモドオオトカゲに食べられてしまわないようにするためと言われています。動物園生まれの彼(彼女?)にはそんな心配はいりませんが、体重が増えるまでのしばらくの間、野生の本能にしたがって、巧みな木登りを披露してくれることでしょう。

 今回孵化した個体と同時に産み出された他の卵は、残念ながら発生が見られないようです。しかし、11月にも「ヨーコ」は14個の卵を産んでいます。もしかすると半年後、この卵から水玉模様の幼体がひょっこりと姿を見せてくれるかもしれません。

写真上:孵化直後のコモドオオトカゲ
写真中上:孵化後3日目
写真中下:母親「ヨーコ」
写真下:2009年11月12日に採取された卵

シンガポール動物園

〔上野動物園は虫類飼育展示係 坂田修一〕

(2009年12月04日)



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